進化と停滞
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またあとで体勢を建て直すよりもこのまま全てを終わらせた方がいい。彼のその意見に俺たちも賛同のため頷くと、シェリアと並ぶように震動がした方向へと駆けていく。
「シェリア、わかってると思うけど・・・」
「大丈夫」
少し様子がおかしいシェリアを心配して声をかけるが、彼女はこちらに目線を向けることなく返事する。その表情は何か思うところがあるのだろう、これまでで一番真剣なものに見える。
「大丈夫、わかってるから」
「ならよかった」
ニッと笑顔を見せておくが、彼女からのリアクションはない。でも、それだけ集中できているなら問題ない。今日のシェリアとレオンはずっと違和感があったけど、今の彼女なら大丈夫だろう。
(でも、グラシアンさんはどうやって天使を倒したんだ?)
先の作戦会議で俺とレオン、シェリア以外の魔法は効かないという予想だったのに、グラシアンさんはそれを覆してきた。これは俺たちの予想が間違っていたということなのだろうか。
(考えても仕方ない。今はあいつを倒すことに集中しないと)
頭を振って邪念を振り払う。グラシアンさんの相手はさっきはいなかった。というのとは増援が来ている可能性が高い。
(最初の国で会った相手は三人組だった。もし今回の相手も三人だとすれば、レオンはもう一人と戦っているはず)
あくまで仮定ではあるが、そうなると厳しい状況になることは間違いない。でもグラシアンさんが倒せるならレオンなら案外もう一人は倒してたりして。
淡い期待を抱きながらも進んでいくと、その予想通り遠目にレオンと白い翼を背中に生やした男が見えてくる。
「レオン!!」
「レオ・・・ン・・・」
両者ともに傷だらけ。これは先ほどのグラシアンさんの時と変わらない。しかし、その時とは明らかに違うことが起きていた。それは・・・
「なんで・・・俺が・・・」
口から血を吐き胸元を抑えている青年。彼は同じくらいボロボロになっている敵を睨みながら、その場に膝をつく。
「考えもなくただがむしゃら。期待していただけに、残念だ」
冷めた目でレオンを見下ろす天使。俺とシェリアは道中抱いていた期待を打ち砕かれた俺たちは呆然とすることしかできなかった。
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