第2部
エジンベア
美少女コンテスト予選・前編
[1/6]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「さあ、いよいよ始まりました!! エジンベア国一美しい淑女を決める美少女コンテスト!! 今回も国中から自分の美貌に自信を持った方々がお越し下さいました!!」
お城の中庭に響き渡るアナウンスを皮切りに、ステージを囲うように設置された観客席から大歓声が沸き起こる。その規模は、今日一日で終わるイベントにしては十分贅沢なものであった。
そんな豪華なステージの真ん中で今、声高らかに今の状況を説明しているのは、このコンテストのために用意された司会であった。お城の関係者なのか、それとも元々こういう職業の人なのかはわからないが、慣れた様子で会場を湧かしていく。
その間私はと言うと、全く余裕のない表情で、ステージの端の出場者専用待機場所に棒立ちになっていた。
(どうしよう、こんなに観客がいる中でステージに上がれるのかな)
人前でステージに上がるという経験がない私にとって、今の状況は不安と緊張で胸が押し潰されそうな気分だ。もともとステージに上がれるような人生を送ってきてないのだから、当たり前なのだが。
しかもユウリやビビアン、アルヴィスは観客席の方にいるのでここにはいない。そばにいてくれるのといないとでは、やはり安心感が違う。
そんな心細さを感じながら、無意識に観客席の方に目を向けて探し続けているが、三人の姿は全く見当たらない。
私がそんな不安剥き出しオーラを放っていると、後ろから私に向けられている視線を感じたので、恐る恐る振り向いた。
「……!!」
「あ、あの……。人違いだったらすみません。ひょっとして、ミオさんですか?」
「も……もしかしてマギー!?」
声をかけたのは、一週間前私たちを助けてくれたマギーだった。
本好きな彼女は目が悪くいつも眼鏡をかけているそうだが、素顔はものすごく美人な女の子だ。眼鏡を外した彼女は、メイクと衣装によりその魅力は最大限に発揮され、花柄の刺繍が施された水色のドレスを身に纏っている。その姿は、まるで花の妖精のように可憐で可愛らしかった。
彼女自身、自分の容姿にあまり自信を持てていなかったようだが、このコンテストに出場しているということは、何か心境の変化でもあったのだろうか。
「びっくりしました。一週間前とはまるで別人ですね! とても綺麗ですよ!」
「マギーの方こそ、どうしたの!? それにメガネかけてないけど、見えるの?」
「メガネの方は、この前ミオさんたちに使った『消え去り草』が少しだけ残ってたんです。その粉をいつも使ってるメガネに振りかけたら、メガネだけ消せるように出来たんです」
「てことは、今は見えてないけど、メガネはかけてるってこと?」
「そうです。一定時間経つと戻ってしまうので、消える前にまた消え去り草をかけ直してますけどね」
こんなときにも役に立つなんて、消え去り草って意外とす
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ