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俺様勇者と武闘家日記
第2部
エジンベア
美少女コンテスト予選・前編
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ど、いてはいけないのですわ!」
『田舎者』。その言葉に、胸を抉られるような衝撃を受ける。
 せっかくそう言われないようにここまで頑張ってきたのに、彼女の一言でそれを台無しにされるわけにはいかない。
「? なにか言いたいことでもあるのかしら?」
 私を見上げながらねめつけるその視線は、完全に相手を侮蔑しているように見えた。
 でもーー。
「……な、なんでもありません」
 感情を圧し殺すように、私はそう答えるしかなかった。
「ふん、最初から余計なことを言わなければ良かったのに。ほら、早くわたくしを連れて行きなさい!」
 ヘレン王女に追い立てられ、係の人は複雑な表情をしながらも彼女の言うことに従う。
 王女がステージに立った途端、マギーと同じか、それ以上の歓声が響き渡った。
「……」
 やり場のない怒りと悔しさが身体中に込み上げてくる。
けれど、それを押し止めるように、ふとユウリの顔が思い浮かぶ。
 今はこんなことでうだうだと悩んでいるわけには行かない。ここで優勝しなければ渇きの壺が手に入らないのはもちろんのこと、もしヘレン王女が優勝したらユウリが彼女の婚約者にされてしまう。それだけはなんとしても阻止しなければ。
「……ですのよ!!」
「なるほど、さすがはヘレン王女ですね。では最後に特技などはありますか?」
 どの出場者も必ず最後に聞かれる質問だ。気になった私は、ひょっこりと舞台袖からヘレン王女を覗き見た。
「わたくし、実は体を動かすことが好きなんです。なので特にダンスに関しましては自信がありますの。それに最近は、練習の時間を倍にしましたのよ」
「ほう!! どのくらい練習なさってますか?」
「ええと、そうね……この二ヶ月で1日四時間はやってますわ」
「よっ、四時間ですか!? それはすごい!! 確かにヘレン王女様はご幼少の頃からがとてもお上手ですものね。この間の舞踏会の時も……」
「ふふ、皆様には是非わたくしの踊りを見ていただきたいですわ!! もちろん、平民であるあなた方にもね!!」
「そ、そうですね!! 実は、王女様のために王国一の楽団を用意しておりますので! リクエスト下されば、どんな今日も演奏してくれますよ!」
「そう? なら、わたくしの一番得意な曲をお願いしますわ」
 ヘレン王女が曲名を司会の人に伝えると、楽団の人たちはすぐさま演奏に入った。そしてその音楽にあわせて、王女は優雅に踊り始めた。
「うわ……すごい上手……」
 思わず声に出てしまったが、彼女の踊りはもはやプロと呼べるくらい優雅で美しかった。二ヶ月前に練習を倍にしたと言うことはそれ以前も毎日二時間はやっていたはず。それに小さい頃からダンスはやっていたと言うから、総合的な練習時間は相当な数だろう。
 付け焼き刃な私の踊りでは、到底叶わない。月とス
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