第2部
エジンベア
美少女コンテスト予選・前編
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平民同士、仲良しごっこでもしていればいいのですわ。優勝するのはこのわたくしなのですから」
まるでその瞳から火花でも放つんではないかと言うくらい敵意を剥き出しにしながらそれだけ言い残すと、ヘレン王女は颯爽とその場から去り、私たち出場者とは別の審査員席の隣にある、特別に用意されたヘレン王女専用の椅子に座った。
なぜか受付で会ったときよりも私に対して敵愾心を持っているように見えるけれど、気のせいだろうか?
「ミオさん、ヘレン様と何かあったんですか? それに王女様が優勝するためにコンテストに出場するのも何か変ですし」
訝しげに問うマギーに、私は素直に返答すべきか迷っていた。おそらくヘレン王女が優勝したらユウリの婚約者になるということは公にはされていないのだろう。それに、下手にマギーに話してしまえば、彼女に余計な心配をさせてしまうかもしれない。
「ううん、ただ私みたいな一般人が参加するから、あまり良く思われてないだけなんだよ」
私は苦笑いを浮かべながら、曖昧に言葉を濁すことしか出来なかったのだった。
「四番、アンリエッタ・ティファーソン、十六歳です」
ステージに上がった参加者の女性が自己紹介をするたびに拍手が沸き起こり、時には歓声も聞こえてくる。
そのあと司会からいくつか質問を受け、最後に一つ特技を披露するのがこのコンテストの『予選』の一連の流れだ。
そう、これはあくまで予選であり、この審査で高評価を得た上位四名が、最終審査へと進むことが出来る。
審査員は半分が商家などを営む市民、もう半分が貴族たちであり、その人たちからの評価を得るのがこの予選の目的だ。
だが最終審査の内容は、観客はおろか出場者にも知られていない。どういう審査をするのか全くわからない状態なのだ。
とりあえず今は予選を通過することだけを考えなければならない。なので私は始まってからずっとステージの袖で他の出場者たちの様子を眺めているのだけれど……。
(皆めちゃくちゃ可愛い……!! あの子なんか私と同い年なのに、すごく大人っぽい!! その前の子もドレスがすごく似合ってたし、何より特技が歌だなんて反則過ぎる……!!)
他の人を見て参考にするどころか、どんどん自信が失われていく。改めて、私は場違いじゃないかと不安が頭をもたげてくる。
「次、マギー・ジークライトさん!!」
「はい!!」
名前を呼ばれ即座に返事をすると、マギーは落ち着いた足取りでステージの方に向かう。そしてステージに上った瞬間、このコンテストで一番の歓声が沸き起こった。
普段店番をしているからかマギーを知っている人は多く、あちこちに彼女の名前を呼ぶ声や、応援する声が聞こえてくる。
「十番、マギー・ジークライト、十九歳です」
それでも臆することなくいつも通りの立ち振舞い
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