第一章
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勝つ為にすること
八条学園中等部女子バスケ部に新しいコーチが来た、前のコーチだった人はアメリカに留学したのだ。
来たのは八条大学体育学部大学院に通っているマリリン=スミスという人だった、一八〇を超える長身のアフリカ系の女性で腰までの髪の毛は縮れていて束ねられている。
マリリンは部員達と挨拶を交えてから何をしたかというと。
何もしなかった、一週間程はただ練習を見ているだけだった。それで部員達は何も言わない彼女に驚いた。
「あれっ、新しいコーチの人何も言わないわね」
「そうよね」
「練習は見てるだけで」
「挨拶はしてくれるけれど」
「練習の時何も言わないわね」
「本当にそうよね」
「見てはくれてるけれど」
それでもというのだ。
「何も言わなくて」
「放任主義?」
「大学院じゃ理論家って言うけれど」
「顧問の先生は言うけれど」
「スミスコーチ何も言わないわね」
「そういう人なのかしら」
部員達は首を傾げさせた、だが。
一週間経って練習のメニューが変わった、そのメニューはというと。
「一人一人違うんですか」
「練習のメニューが」
「そうなんですか」
「はい、皆さんはそれぞれ体格や性格が違います」
スミスは部員達それぞれに練習メニューを書いた紙を渡してから答えた。
「ですからこれからです」
「それぞれですか」
「このメニューをしていくんですか」
「そうですか」
「そうしてもらいます、そしてそれぞれの適性のあるポジションも確認しましたので」
そちらも行ったからだというのだ。
「メニューにはそれも入れています」
「これまでは全体練習でしたが」
「これからは個々ですか」
「個々でやっていきますか」
「そうします、そして皆さんでそれぞれお話してもらいます」
スミスはさらに言った。
「顧問の先生や私がいる中でミーティングを行って」
「ミーティングですか」
「そこで、ですか」
「お話もするんですか」
「皆さんがそれぞれ見た人のいい部分と悪い部分をお話して下さい」
こう言うのだった。
「いいですね」
「個々のメニューの練習になって」
「ミーティングも行う」
「これからはそうなりますか」
「そうして部活をしてもらいます」
スミスの言葉は淡々としたものだった、そしてだった。
部員達はそれに従って練習をしてミーティングをした、各人の練習に励み。
お互いのいい部分と悪い部分を話した、だが悪口や誹謗中傷はスミスや顧問の先生が止めた。そうしてだった。
伸ばす点と改善点も各人に教えてさらに練習させていき。
スミスは戦術の話もした、すると。
練習試合ではこれまでより遥かに強くなった、そして大会でもだった。
八条学園中等部女
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