第2部
エジンベア
ミオの挑戦状
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ないような、豪華な細工やきらびやかな宝石をあしらったものがほとんどだ。
皆が言葉を続けられない中、一同が半信半疑なのを見越してか、ユウリが口を開いた。
「彼女の言うとおり、この子は正真正銘本物の第一王女だ」
念を押すような一言に、流石の皆も一斉に黙り込む。すると、皆が納得したのを確認したのか、ヘレン王女はずい、と前に出た。
「そうですわ!! そして今日このコンテストに優勝すれば、ユウリ様の婚約者になるのですわ!!」
『は!!??』
今度は四人全員が声を揃える。ダメだ、驚きが多過ぎて頭がついていかない。
「おい、一体どういうことだ!?」
余りにも突拍子もない発言に、ユウリはヘレン王女に向き直り肩を掴んだ。この強引な行動に、彼女は「きゃあ!」と嬉しそうに声を弾ませる。
「ユウリ様、嬉しさのあまり感情が昂ってらっしゃるのはわかりますが、落ち着いてくださいませ」
「いや、別にそう言うわけでは……」
「一週間前、わたくしはあなたに一目惚れしてから、ずっとあなたのお側にいたいと思っていたのです。けれどユウリ様はいずれこの国をお発ちにならなければならないお方。それならば、婚約者というかたちで将来を約束すれば、また再びこの国に来ていただけるかと思い至ったのです」
「待て、何を勝手に……」
「この話をお父様にしましたら、快く了承してくださいましたわ! ですがいきなり貴族でもない他国の方を王宮に迎え入れてしまえば、国民の反感を買う恐れがあると判断したんですの。なので急遽、今回開かれるコンテストに特別ルールを作ったんですわ!」
特別ルール? それってまさか……。
「……その特別ルールというのが、コンテストに優勝したら俺と婚約できるってことか?」
恐る恐るユウリが尋ねると、ヘレン王女は気持ちいいくらい素直に大きく頷いた。
「一般の方が優勝したらお父様から好きなものを一つもらえるってことですけど、わたくしが欲しいのはユウリ様ですから! ユウリ様と結婚できれば、あとは何もいらないのですわ!」
そこまで言って、ヘレン王女は自分で言ったことに恥ずかしがりながらも、ちらちらとユウリの方を見ている。一方のユウリと言えば、普段の強気な様子とはほど遠く、呆気に取られていた。
普段の強気な姿勢とは違って、彼のこんなおとなしい姿を見るのは初めてだった。
「助け船を出すわけじゃないけど、ちょっとやり方が強引じゃないかしら」
ヘレン王女の声が響く中、ぽつりとそう言ったのは、ビビアンだ。
その異論に反応したのか、ユウリから離れたヘレン王女がまっすぐにビビアンの方を見る。
「あら? もしかして焼きもちですの?」
「絶対違うから。そうじゃなくて、相手の意思も聞かずに一方的にそういう人生の大事なことを決めちゃって良いのかしらって聞いてるの」
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