第2部
エジンベア
ミオの挑戦状
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正確には、アルヴィスを見たからだ。どうやら、筋骨隆々の戦士風の男性が化粧をして女性用の服を着た姿を見るのは、初めてだったらしい。
「なんですの!? この方たちは!? しかも女性ばかり!! ひょっとしてユウリ様の愛人たちですの!?」
あ、愛人って……。年の割にとんでもない言葉を知っているなあ。
「冗談じゃないわよ!! 愛人になるならもっと気の利く男を選ぶわよ!!」
ビビアンはビビアンで怒るポイントが少しずれているし。ひとまずここは事情を知っているユウリに話を聞くしかない。
「ユウリ。ちょっと状況がよくわからないんだけど、この子ってユウリの知り合い?」
「いや、この子は……」
「あなたこそ何者なんですの!? ユウリ様を馴れ馴れしく呼び捨てで言うなんて!」
私が尋ねると、歯切れの悪いユウリに代わって、彼の腕にずっとしがみついている少女が答えた。
そう言えば名乗っていなかった。私はハッとなり慌てて自己紹介をした。
「ごめんなさい。私はミオ、ユウリの仲間です」
「仲間!? ということは、ユウリ様と同じで、魔王を倒そうとなさっているのかしら!?」
「は、はい! そうですけど!?」
勢いに押され、思わずこくこくと頷く私。
「何故そのような方がこんなところにいるのかしら? ここは国一番の美しい淑女を決める美少女コンテストの会場ですわよ?」
「えっと……実はそのコンテストに参加しようと思ってまして……」
「えっ!? 本当ですの!?」
目を丸くしながら素直に驚く少女。この辺りは年相応の子供らしい反応をしている。
「まあ……そこそこいい線行きそうですけど、残念ながらわたくしが出場する限り、優勝するのは諦めた方が良いですわ」
一転、眉を下げて憐れむような視線を送る少女。ということは、彼女もコンテストに出場するのだろうか。
「ふうん、随分口の達者なお嬢ちゃんね。そんなに自信があるのなら、名前くらい名乗ったらどう?」
彼女の物言いが癇に触ったのか、冷ややかな視線を送るビビアンに、少女は仕方ないという風に鼻を鳴らした。
「ユウリ様のお仲間なら仕方ないですわね。わたくしの名はヘレン・アナベル・ド・エジンベア。我が国エジンベアの第一王位継承者ですのよ」
『ええええっっ!!??』
ユウリを除く三人の声が一斉にこだました。周りにいたコンテスト関係者や出場者の視線が一瞬こちらに集中する。
「いやいや、待ってよ! 王女様がこんなところにいるわけないでしょ?」
「そうねえ、まさかとは思うけどねえ……」
二人の言うとおり、この子が王女様というのはにわかには信じがたい。でも、このお城の奥の方からやってきたってことは、関係者である可能性が高い。それに彼女が身に付けているドレスやアクセサリーも、私たちが門前払いされたお店ですら見たことの
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