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俺様勇者と武闘家日記
第2部
エジンベア
ミオの挑戦状
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なった』とか言えないのかしら、この唐変木勇者は」
 ぼそりと私の耳元で呟くビビアンの声が、心なしか怖い。初めて出会ったときと比べると、彼女のユウリに対する接し方が大分変わってきているのが見て取れる。
「それで、私たちはどこに行ったらいいのかしら?」
 どことなく機嫌の悪いビビアンの代わりに、アルヴィスが誰にともなく問いかけた。すると、
「コンテスト会場は城の中央庭園でやるそうだ。俺たちはこのまま城を出て、庭園の側に設置された観客席に向かえばいい」
 なぜかやけに詳しいユウリがコンテスト会場について説明する。城内にある大時計を見ると、今は朝の八時半。開始時間は九時半だから、まだあと一時間ぐらいは時間がある。
「ふうん。だったらまだ時間があるわネ。だったら少し城内を見て回らない? このあたりは一般開放してるんでしょ?」
「賛成!! 他国のお城なんて滅多に見られないものね! ねえねえ、どこ回る?」
「回りたければ勝手に回れ。俺は先に観客席に行く」
 黄色い声を上げながらはしゃぎ続ける私たちに向かって突き放すようにそう言うと、ユウリは一足先に庭園へと続く扉へと向かってしまった。
「相変わらずだなあ、ユウリは」
「ふふ、やっぱりあの人の若いころにそっくりだワ♪」
「あー、私やっぱりああいう協調性のない人苦手だわ」
 なんてそれぞれ好き勝手なことを言っていると、何やら遠くから誰かを呼ぶ声が聞こえてきた。
「……リ様ぁぁ!! お待ちになって――――!!」
 甲高い声とともにやってきたのは、ピンクのドレスを身に着けた人影だった。と言ってもものすごい速さでこちらに向かって来たので、はっきりとした外見はわからなかったが。
 おそらくユウリを呼んでいるのだと思うが、呼ばれた本人の方を見ると、なぜか振り向きもせず走り出している。
 そして、足の速いはずのユウリが見る見るうちに追いつかれ、気づいたときには少女はユウリに抱きついていた。
「なっ……、いつの間に!?」
「ユウリ様!! しばらくお会いにならないと思ったら、私の活躍を見に来てくださったんですのね!!」
 顔をひきつらせているユウリに対し、頬をピンク色に染めながら目を輝かせて彼にしがみついているのは、ユウリの胸の高さほどの身長の、小柄でとてもかわいい女の子だった。
 おそらく年は私より二、三才ほど年下だろう。赤みがかった金髪の縦ロールには、リボンや髪飾りがいくつも飾られている。ドレスもフリルがたくさんついており、かつ上品な色合いのドレスで、愛くるしい顔立ちの彼女にとても似合っていた。
 この女の子はいったい誰なんだろう、と疑問を口に出そうとした時、ふいに少女と目が合った。
「あら? この方たちは一体どなた……きゃああぁぁぁっ!!」
 私たちを見た途端、いきなり絶叫する少女。いや、
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