第二部 1978年
ミンスクへ
青天の霹靂
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・ヌーボーを、机の上に置く
ビニール袋に入れたガラス製のコップを取り出して、並べる
普段よりつけている化学繊維製の白手袋を取ると、コップを持つ
少尉は、彼のコップに酒を並々と注ぐ
《褐色の野獣》が音頭を取る
「では、諸君らの健康を祈って、乾杯」
一同が、乾杯の音頭を返す
そして一息に呷る
奥で黙っていた曹長が少佐に質問する
「同志少佐、ベルンハルト嬢も中々の美女です。安く売って雑兵の一夜妻などにするのは勿体無う御座います。
この際、ボンに下る手土産として高級将校やCIA工作員へ、細君として差し出すのも策の一つではありませんか。
その方が、あのいけ好かない小僧も身悶えします故」
彼は、顎に手を当てる
「敵国の支配階層へ、特権階級の美姫として差し出すか。
それ相応の化粧をして、忠を示す貢物とする。
ブルジョア趣味としては良いかもしれぬ。
同志曹長、君が企みに私も乗ろう。
私も、早速下準備に入るとするか」
彼は、脇に立つ少尉を抱き寄せる
「打ち拉がれたあの男を、私が慰めるのも良いかもしれぬな」
頬を赤く染めた少尉は、彼の右腕を服の上から抓る
「美姫に飽き足らず、美丈夫までとは。
相変わらず手が早いですね」
彼は右手の方を覘く
「下品な物言いは、君らしくないぞ。
同志ゾーネ少尉。
その際は、あのブレーメ嬢を私と彼の眼前で弄ぶ様を見せて欲しいが、どう思うかね」
白髪の大尉が応じる
「結構な趣味ですな」
右脇にゾーネを抱えながら、彼は大尉に返す
その大尉は《ロメオ》諜報員と呼ばれる婦人専門の色仕掛け工作員であった
「何、私は寝取りの趣味は無い。
間男の生業ばかりしている君とは違うがね」
再び室内に男たちの高笑いが反響する
「敢て、奴らを結婚させてから引き裂く。
父と同じ道を歩ませる……、一興であろう。
幼妻というのも良いやもしれぬ」
空になったコップにゾーネが酒を注ぐ
秘蔵の酒を瞬く間に飲み干してしまう
「いや、実に甘い酒ですな」
へべれけになった曹長が応じる
大尉は胸からCASINO(東ドイツ製のタバコ)の包み紙から、シガレットを取り出す
火を点け、吹かし始める
「後は、女さえあれば……」
「そうだ、あとは女」
ほろ酔い気分になった彼は、部下を一瞥するとこう締めくくる
「諸君、今日はお開きだ」
彼等は、その場を後
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