フェアリー・ダンス編
新世界編
新たな始まり
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てくるの!」
「綺麗……」
「良い眼科……紹介するわよ」
「これ、隠してたの?」
無視かい!!
「そう。虹彩の異常。教師が五月蝿いの」
「へ〜大変だね。……大丈夫、私は綺麗だと思うよ」
「……………」
この目を綺麗だと言ったのは家族以外では始めてだ。因みに、バレたのも始めて。
「桐ヶ谷さん、用事があるんでしょ。早く帰った方がいいわよ」
「……用事、こっちなんだ」
そう言う桐ヶ谷さんの声には憂いがあった。
やがて、目の前に大きな病院が現れた。
「ここ?」
「うん、お兄ちゃんが入院してるんだ」
声はさらに寂しそうになる。
「お兄ちゃん、あのゲームの被害者なの……」
「え……!?」
余りにもビックリしたので、思わず、大声を出してしまう。
「ど、どうしたの?」
「……私のお兄様も、同じ」
自分から死にに行った気違いだけど。
「そう、だったんだ……って、お兄様!?」
しまった……
「私の家、ちょっと古いから……」
「へ、へえ」
世が世なら華族。というのは彼女のために言わないで置こう。
「それじゃ」
「ま、待って水城さん!!」
足を止めて振り返る。
「友達にならない!?」
……は?
「えっと……桐ヶ谷さん?」
血迷いましたか?
「あたしは沙良って呼ぶから、沙良は直葉、もしくはスグと呼ぶように」
「……いいけど」
「よし、じゃまた明日ね、沙良」
「……さようなら、直葉」
そんなこんなで、お互いを名前で呼ぶようになり、彼女がALOを始めるときも誘われてプレイようになったのだ。
アミュスフィアを被り、今日の冒険に思いを馳せる。
待ち合わせ時刻まではあと10分、生真面目な彼女はもう中に居るだろう。
「リンク・スタート」
始めて出来た友人、彼女は私にとって太陽のような人だ。
このゲーム中にお兄様が言う悪意があるとしても――
『貴女には、指一本触れさせはしない』
そう決意しながら、彼女は仮想世界のゲートをくぐった。
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