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ベトンの棺
ベトンの棺
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んもばぁさんも、小さな子供も大人もあかちゃんも、みんな協力して一致団結して頑張りましょうという事になった。



実際な、食べ物なんて満足に食えなかった。配給制と言って、国から、あなたのとこの家族は5人だから2日でこれだけ、と貰えるんだ。それもだんだん少なくなってきて、ここらは田舎だからまだいいが都心じゃ酷かったと聞いている。食べ物も着るものも、みんな配給制になっていった。



米に水をたんと吸わせて、(かさ)を増すために芋やなんかと一緒に炊き上げる。炊きあげると言うより、もうお粥だな。独特のにおいがある水のような玄米にはうんざりで、白くてピカピカの米が食いたかったよ。皆がいつも腹をすかせて、食べれるものを山でとってきては齧っていた。



母親の努力はすごいもんで、我が子にできるだけ量があるものを、と毎日毎日頭を捻って考えてくれていた。



そんな中、儂にも赤紙が届いた。赤紙と言うのは、「おめでとうございます。兵隊に選ばれましたよ」ということだ。



その時はな、皆が戦争に協力するということだったから、兵隊に選ばれたのは「おめでとう」なんだ。嫌でもおめでとうと言わなきゃならん。嫌がると「貴様、非国民だな!」と家族は村八分(むらはちぶ)にされる。まわりじゅうからいじめられるということだ。これは辛いぞ。物のない時代だ。足りない物は近所で補い合って生活していたから。食べるものも貰えなくなる。



自分の息子が日本を守るために戦争に行って死んだのに、隣の家の息子が赤紙が来たのに行かないでのらりくらりとしていたら、それは良い気がしないだろう?そういうことだ。みんな顔は笑って心で泣いた。



儂も、兵隊として戦地に旅立つことになった。



故郷を離れる電車の窓から見える白と赤の旗、旗、旗…。みんなが日章旗(にっしょうき)を振っていた。日本の国旗だ。それは今でもはっきり思い出せる。



今そこの台所にいるうちのばぁさんもその時来ていてな。気丈にも、悲しい顔一つみせなかった。儂らも赤紙が来て慌てて結婚したクチだったから、新婚だった。でも戦争は新婚だからって見逃しちゃあくれん。



千人針というものも貰った。家族が戦争に行くことになると、女の人が一人一回ずつ、木綿に赤い糸で針を刺し縫って行く。それを千人分集めると、弾丸(たま)よけになると言うことだった。婦人は街頭に立って、道行く人にお願いして、ひとりひとさし千人分、無事帰ってくるようにとの願いを込めながら縫って貰ったものだ。並大抵のことではない。本当にありがたい。



儂は船に揺られながら満洲(まんしゅう)へ渡った。今で言う北朝鮮の上あたりにあった国だ。



そこで、背嚢(はいのう)を背負い、銃を持たされ、
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