第2部
エジンベア
脱・田舎者作戦
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「う、うん」
ビビアンの小声の問いかけに、私は心臓が口から飛び出そうになるくらい緊張しながらも、小さく頷いた。
「それじゃ、カーテンオープン!!」
シャッと勢いよくカーテンが開かれ、目の前にいるのは、わずかに目を見開いて立っているユウリ。
「……」
え、無反応!?
しばしの間沈黙のみが続く。誰も何も言わないこの気まずい空気に耐えられず、私が口を開こうとしたときだ。
「……驚いたな」
「へ?」
勇者の一言に、私は間の抜けた返事を返す。
「もおーっ!! ユウリくんたら!! そこは『綺麗だね』とか、『可愛い!!』とか言うところでしょ!!」
アルヴィスが憮然としながらユウリに不満を言い放つが、当のユウリはそれ以上何も言わなかった。
「でも、驚いたってことはギャフンと言ったってことと同義よね!? てことは私の勝ちってことでいいわよね!?」
「何でそうなる」
今にも掴みかからん勢いのビビアンに対し、呆れた顔で冷静に突っ込むユウリ。
正直この程度の反応なのかと半ば予想はしていたが、それでも少し残念な気持ちであった。
けれどこれだけはどうしても聞きたい。私は意を決してユウリに尋ねた。
「ねえ、ユウリ。私今、田舎者に見える?」
そう尋ねながらも、先ほどまでの自信をなくしていた私は、彼にどう言われるか緊張で胸のドキドキが止まらず、目を合わせることが出来なかった。
そんな私の心中など知らないユウリはいつもの口調で、
「いや、今のお前なら、確実にコンテストに出場できる」
そうきっぱりと言ったので、思わず期待に満ちた眼差しを彼に向ける。
「ホント!?」
「あ、ああ」
急に彼に詰め寄ったからか、戸惑う様子を見せるユウリ。彼の反応の薄さに正直物凄く不安だったのだが、はっきりと肯定してくれた分、彼の言葉は信用できる。
「よかったわネ、ミオ。じゃあ早速そのコンテストとやらに行きましょうか」
「そーね♪ 楽しみだわ」
「!? ちょっと待て!? 何でお前らもついてくる雰囲気になってるんだ!?」
ユウリの言葉に、私含め三人はキョトンとした顔をする。
「え? ビビアンたちも来てくれるんじゃないの?」
てっきりこのあと二人ともエジンベアについてきてくれるのかと思っていたのだが、どうやらユウリの考えは違っていたらしい。
「アタシも当然行くものだと思ってたわ」
「ていうか、ここまでがっつり協力したんだもの、応援くらいさせて欲しいわよね」
「そーよぉ。アタシたちがミオをここまで変身させたんだから、当然最後まで見届けないと」
「……」
ビビアンとアルヴィスに遠回しに責め立てられ、苦悶の表情を浮かべるユウリ。やがて根負けしたのか、
「わかった。だがその分依頼料は差し引かせてもらうからな」
と、ちゃっ
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