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俺様勇者と武闘家日記
第2部
エジンベア
脱・田舎者作戦
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てくれた店主は自信たっぷりに私に引き渡してくれたのだ。
 店主が自信を持って私に渡したのもうなずける。淡いレモンイエローのカジュアルなドレスは派手過ぎず地味すぎず、要所要所に刺繍やフリルが施され、多少動いても崩れない程度のドレープが使われている。別のお店で買ったパンプスも、履き慣れない私に合わせてヒールの低いものを選んだ。
 髪はハーフアップとか言う髪型にしてもらい、アルヴィスに何度も毛先を整えてもらった。さらにドレスに合うように明るい色を基調とした髪飾りやイヤリングをつけ、メイクも濃すぎないよう、あくまで年相応にみられるようにナチュラルな感じに仕上げてもらった。
「……よし、オッケーよ♪」
「ちょっと!! これなら確実に優勝狙えるんじゃない!?」
 ビビアンの言葉を真に受けるほど自分に自信があるわけではないが、確かに今の私は、普段とは全くの別人になっていた。外見に気を遣うことでこんなにも差が出るなんて、今まで思いもしなかった。
「アルヴィス。メイクすごく上手だね」
「何言ってんの。素材がいいからよ。もう誰も、アナタを『田舎者』だなんて呼ばないわ」
 そう言って、ウインクを見せるアルヴィス。身近な人にそう言ってもらえると、なんだか照れ臭くなる。
「ふっふっふ。これであの勇者がミオの姿を見て、どういう反応するかよね」
 まるで悪だくみでもするんじゃないかという顔で含み笑いを漏らすビビアン。
 すると、まるでタイミングでも見計らったかのように、アルヴィスの店の扉をノックする音が聞こえた。
「ミオはそこのカーテンの陰に隠れてて。今アタシが出るワ」
 言われるがまま、私は店の脇にあるカーテンに隠れた。私も内心、ユウリが今の私の姿を見てどういう反応をするのか気になっていたからだ。
 扉を開けると、そこには相変わらずの仏頂面の勇者の姿があった。一週間ぶりに目にするいつもと変わらない彼を見て、どことなくほっとしている自分がいる。
「おはよう、ユウリくん♪ 待ってたわよ」
「あいつを迎えに来た。どこにいる?」
 アルヴィスが返事をする前に、ビビアンがユウリの前にずいと立って出た。
「ミオはあのカーテンの裏にいるわ。それより、一週間前に言ったこと、覚えてる?」
「? お前が年の割にずいぶん大人げないということは覚えてるが」
「あんた私が何歳か知らないでしょうが!! いい? 私はあなたにギャフンと言わせてやるって言ったのよ!!」
「そもそもギャフンなんていう人間がこの世にいるのか?」
「あーもー!! つべこべ言わずにいいから早くこっち来て!!」
 ビビアンに強引に手を引かれ、ユウリは渋面のままカーテンの方へ連れられて行く。カーテンの隙間から覗いていた私は、二人が近づいてくると同時にさっとカーテンを閉めた。
「いい? 開けるわよ?」
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