第2部
エジンベア
脱・田舎者作戦
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ど」
「いいんじゃない?どうせ本人ここにいないんだし、それに少しでも笑っていた方が気が楽でしょ?」
そう彼女に言われて、はたと気づく。そうだ、さっきまで不安で泣いていたはずなのに、いつのまにか笑ってる自分がいる。
「……そうだね、この際ユウリを利用させてもらおうかな」
「そうそう、女はそのくらい図太く行かないと、やっていけないわよ」
あっけらかんと言い放つビビアンに、思わず苦笑する私。
「アナタたち、笑うのはいいけど、いい加減この場所から離れない? お店の人に迷惑よ」
アルヴィスの言うとおり、店の前で笑いあってる私たちは端から見たら何事だと思うことだろう。私とビビアンは道行く人々の視線を逸らしながらアルヴィスの店へと戻ったのだった。
「おはよう、ミオ!! アルヴィス!!」
まだ日も明けきらぬ早朝、アルヴィスの店に元気よくやってきたビビアンは、未だ夢の世界にいた私を現実へと引き戻した。
「う……おはよう、ビビアン。今日はいつにもまして早いね」
「何言ってるの! 今日が本番でしょ! 早く支度しないと迎えが来ちゃうじゃない!!」
迎えというのは言うまでもなく、ユウリのことだ。
お店の合鍵を持っていたビビアンは、お店側から入り、そのまま仕事部屋の隣の部屋で寝ていた私を起こしに来てくれたようだ。
ちなみに私が寝泊まりしている部屋は、以前同居していたシーラが使っていたという。いつ戻ってきてもいいように、シーラが出ていったときのままにしてあるそうだ。
「ほら、早く顔洗って!! 朝のルーティンが大事なのよ!」
寝ぼけ眼で、ぼんやりした頭を振り起こし、なんとか起床する私。ビビアンに急かされ、急いで顔を洗う。
すると、すでに起きていたアルヴィスが、ピンクのフリル付きのエプロンを身に付けながら、顔を覗かせてきた。
「あら、ビビったら、今日はいつにもまして早いわネ。ちょうど朝ごはんが出来たから、皆で食べましょ」
「やったー!!」
「ありがとう、アルヴィス」
私たちはアルヴィスの後について行き、ダイニングへと向かう。テーブルに並べられた料理からは温かい湯気が立ち上り、芳しい香りが部屋中に広がる。
「今朝はトマトリゾットを作ってみたの。熱いから、冷ましながらゆっくり食べてね」
「うわぁ、美味しそう!!」
この一週間、私はアルヴィスが毎日作ってくれる料理の虜になっていた。アルヴィスの料理はただおいしいだけでなく、美容や疲れた体にもいいのだそうだ。なので私も自分で作りたいと思い、ついでにここにいる間にアルヴィスに頼み込んで、レシピを教わっていたのだ。
そして朝食を食べ終えたあと、アルヴィスの店に戻った私たちは、いよいよコンテストに向けて準備をすることになった。
「あ、そうそう! ミオに渡したいものがあっ
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