第2部
エジンベア
脱・田舎者作戦
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いが、今頃どうしてるのだろうか。
「……」
彼の顔を思い浮かべた途端、なぜだか急に鼻の奥がツンとしてきた。
ユウリに言われるがままここまでやってきたけど、本当に優勝なんて出来るのかな。もし出来なかったら、なんて言われるんだろう。
そんな不安が頭の中でどんどん渦巻いていくうちに、今まで頑張ってきた自信の積み重ねが崩れ落ちるような気がしてしまう。
ああ、ダメだ。コンテスト前日にこんな調子じゃ、優勝なんて出来っこないよ。
「お待たせー!……って、ミオ!? どうしたの!?」
手に一杯の荷物を持って店から出てきたビビアンと目が合うなり、私の目から涙がぽろぽろと零れ落ちる。
「あんたたち、何騒いで……やだ、ビビったら、何ミオ泣かしてんの!?」
「ちっ、違うわよ!! ねえ、大丈夫!? 何かあったの!?」
「ごめん……。ちょっと明日のこと考えてたら、不安になっちゃって……」
二人に要らぬ心配をかけるわけには行かない。私はあわてて袖口で涙をぬぐった。
「でも大丈夫! 二人のお陰で大分自信もついたから、明日は頑張るよ」
そう言って必死に笑顔を作ってみせるが、私には二人を誤魔化し通すほどの器用さは持ち合わせていなかった。
「何言ってんの。全然大丈夫そうには見えないわよ」
心配そうに顔を覗き込むなり、ビビアンは持っていたハンカチで私の涙を拭いた。
「まあ無理もないわよねえ。ただ出場するだけじゃなくて、優勝しなくちゃいけないんだもの。相当プレッシャーよね」
アルヴィスもため息をつきながら私の肩に手を置く。
「第一、急にコンテストに優勝しろって言うのも無茶苦茶よね。あの勇者、人の気持ちが分からないのかしら」
「まあまあ、ビビ。あの子もあの子なりに考えてるんだと思うわよ。だからアタシたちにミオを預けたんじゃない?」
「けど、他にも方法があるんじゃない? 例えば、勇者本人が女装して出場するとかさあ」
ビビアンの発言に、思わず女装姿のユウリが思い浮かぶ。もともと整った顔立ちの彼なら、ひょっとしたら優勝することも出来るかもしれない。
「……ふふっ」
つい思い出し笑いをしてしまい、二人の視線が私に集まる。
「ホントだね。ユウリなら、意外といい線行くかも」
私が笑いながら言うと、アルヴィスも力強く頷く。
「確かにいいアイデアね。この間メイクしたとき、そこらの女の子なんか霞んじゃうくらい綺麗だったもの。アタシの仕事仲間も、あの子は才能があるって言ってたワ」
「待って、それ女装の才能ってこと?」
ユウリに女装の才能って……。やばい、想像しただけで笑いが止まらなくなってきた。
「やだもうミオったら、笑いすぎでしょ」
「だって普段のユウリとギャップがすごくて……。どうしよう、ビビアン。女装姿のユウリが頭から離れないんだけ
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