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絶撃の浜風
外伝 赤城編 04 佐世保沖海戦とティレニア海海戦(T)
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(2021年8月15日 執筆)














皇紀 2736年7月4日



赤城と加賀、そして鳳翔が演習にすら姿を見せなくなって、既に二年もの月日が流れていた



 その年は、アメリカはカリフォルニア州、サンディエゴ軍港においてアメリカ建国300周年記念観艦式が開催される運びとなっていた



 今よりおよそ60年前のあの日から、人類共通の敵は【人】から【深海棲艦】へと移っていた。人と人、国や地域同士で紛争する時代は今や過去の話である。第一次深海棲艦戦争の折、世界中の軍事力は一度この地上から消滅している。それは当時世界最強を誇っていたUSAFの5軍でさえ例外ではなかった

 我が国においても、太平洋方面に展開するアメリカ第七艦隊が深海棲艦軍と交戦になり、第70から79まであった10の任務部隊が全て壊滅、司令部の置かれていた揚陸指揮艦ブルーリッジは横須賀基地ごと地上から消滅した


戦う術を失った人類は、丸腰のまま深海棲艦の脅威に晒された

そしてそれを救ったのが、現代に至るまでその血脈を受け継がれる存在、艦娘であった


 現在この地球上に覚醒している艦娘の数は僅かに300隻余り・・・・相も変わらず深海棲艦とまともにやりあえるのは艦娘だけであった

 通常兵器搭載型の艦艇や航空兵器は、かつてのアメリカ沿岸警備隊、所謂第6軍の生き残りを再編・再構築したもので、その用途は、海賊やマフィア等の組織犯罪集団の摘発という、対人戦闘が主任務となっていた
 


故に、今や観艦式の主役は【艦娘】であった



 第二次深海棲艦戦争後の世界は、深海棲艦の絶対数が激減した事もあり、比較的平和な時代が長らく続いていた。そのような背景もあり、他国の観艦式に参加する艦娘の数は、回を重ねる毎に増加の一途を辿っていた



 米海軍にとってはかつての同盟国である日本からも、毎回多くの艦娘が祝賀航行部隊として参加していた

 そして今回日本から派遣される艦娘の総数は実に88隻にも及び、某鎮守府からは52隻が参加する予定となっていた。流石にこれは異例の事であった



例年他国の観艦式に派遣される艦娘はせいぜい5〜10隻位が相場であった

 観艦式は、言ってみれば祭事のようなものである。他国の艦娘を招いて軍事交流や国際親善を促し、同時に自国民に艦娘への理解を深めてもらう場でもあった。だが、他国の観艦式に艦娘の多くを割く事は、自国の哨戒任務や有事への即応に支障を来す恐れがあった。これでは本末転倒である


 にもかかわらず、日本がこれ程の大部隊を派遣させる事になった経緯には少々複雑な事情があった




それは、今より丁度一年程前の事


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