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アーチャー”が”憑依
二十話
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「あ、あはは」

 班のメンバーが苦笑いを浮かべながらエヴァンジェリンを見るが、色々見学し、満足げなエヴァンジェリンにはどこ吹く風であった。

「それでは、そろそろ行きましょうか」

「お願いします」

 一行が目指すのは木々の生い茂る中に佇む小さな建物。ネギの父親、ナギが京都で使っていた所詮別荘と言う奴である。正直、ナギの行方に興味がないネギだが、別荘にはナギが収集した数多くの書籍があるという。千の呪文の男と呼ばれた魔法使いが集めたというそれに興味があったネギは訪問を決意した。尤も、西の長である詠春の誘いを断れないという対外的な理由も含んでいたが。

「…………」

 数多くある書籍からめぼしいものをいくつか抜き取ってパラパラと大雑把に読んでいく。魔道書の類もそれなりにあるようだが、大半は一般に売られている書籍が占めているようだ。

「天文……その中でも火星関係が多いな」

「私の父親には宇宙に興味でもあったのか?」

 私は知らん、と隣で同じく書籍をパラパラとめくっていたエヴァンジェリンが返す。



「どうですか?」

 ある程度時間が経ち、書籍あさりもひと段落した頃に詠春が声をかけてきた。どうやら、ネギ達に気を使っていたようだ。

「いくつか気になるものもありました。ゆっくりできないのが残念です」

「それなら、鍵をお渡ししましょう。好きな時に来て構いませんよ」

 それはありがたい言葉だった。エヴァンジェリンから聞いてはいたが、ナギもネギと同じく得意属性は風、光、雷だ。そのせいか、置いてある魔道書はそれらの属性に関するものが多かったのだ。

「おい、これを見ろ」

 ネギが詠春から鍵を受け取っていると、エヴァンジェリンが一枚の写真を持ってきた。ネギにそっくりな少年を中心に、一人の少年、四人の男が写ったものだ。
 その容姿から、中心に立つ少年がナギであることは容易に想像がついた。だが、それよりも目を引いたのはナギの隣に立つもう一人の少年。その少年は、髪型が違うせいか雰囲気こそ異なるものの、昨夜の敵、フェイトにそっくりの容姿をしていた。

「これは……」

「彼はナギの師匠で、名をゼクトと言います」

 ネギの視線を受けて詠春が自ら口を開く。彼が何ものなのか、そして、既に亡くなっている事を語った。

「容姿にそぐわない知識や言動から只人ではないと思っていましたが、話してくれない以上聞くべきではないと思っていたのですが……」

「ふむ。昨夜の奴は何処か機械染みた動きだった。もしかしたら、奴とコイツは同じ技術で”造られた”ものなのかもしれんな」

 エヴァンジェリンが自分の推測を口にするが、その答えを知る者はこの場にはいない。
 楽しいはずの修学旅行は波乱と幾つ
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