SAO編−白百合の刃−
SAO26-Yui Suzuna
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に落ちた。
「変わる?」
「別に良いわよ」
筋力パラメータ補正のおかげで、十歳程度の体格でもドウセツはスズナの重さでも持てるようになっているから腕が疲れることはなくなっている。
「ねぇ、あれじゃない?」
歩くこと数十分。アスナが指した先には色づいた広葉樹の林の先には一際高い尖搭があり、教会の印である十字に円を組み合わせた金属が搭のてっぺんにつけていた。
間違いない、あの建物が教会だ。
「さ、行きましょう」
ドウセツが先頭に立ち、教会へと進もうとした時だった。
「ちょ、ちょっと待って」
アスナがドウセツを呼び止めた。
「……なに?」
「あ、そのさ……もし、あそこでユイちゃんとスズナちゃんの保護者が見つかったら……置いてくるんだよね」
「そうよ」
ドウセツは後ろを向かずに答える。
そして私はアスナが何を思っているのかを理解できた。ドウセツに至っては、呼び止めた時点でわかっていたのかもしれない。
アスナは迷っている。少ない期間でもユイちゃんを家族として、本当の娘のように愛しているに違いはない。それはドウセツも同じはず、母のようにスズナを接しているのを私は見た。
ドウセツとアスナが持っている愛しさは同じだ。でも、ドウセツはアスナと違って、最初から決めていた。
「……アスナ」
ドウセツは振り返ってアスナを見つめる。珍しく、その瞳はどこか力強いような感じがした。
もしかして……怒っている?
「例え家族を見つかったとしても、アスナはその家族の娘を奪って自分達の娘にするつもりなの?」
「それは……っ」
「いい、アスナ。貴女はユイを産んだわけじゃないわ。産みの親がいることなら、ユイとアスナは別れることは必然よ」
「……わかっている」
「わかっていても、それを実行するのとでは同等じゃないわ」
「…………」
「更に言えば、わかっていることを実行できないことは結局わかっていないだけになるのよ。今のアスナはわかっているフリをしているだけだわ」
初めて見た気がする。呆れたり、人を見下したり、毒を吐いて冷酷なことを言ったりすることもある。それがドウセツであることは知っている。
でも、初めて、ドウセツが真っ直ぐにアスナに怒っている姿を初めて見た。
「ユイと別れたくないと言う想いは、別の傷跡を残すことになってしまうわ。アスナも、ユイも、ユイの家族も、そしてその周りの人々さえもいらない傷跡を刻み、それに巻き込まれることだってあるのよ」
「…………」
「もしユイと別れたくない、ずっと側にいると少しでも思っているなら、今すぐ捨てなさい。その考えは褒められたことじゃないし、他人の子供を奪った最低の悪人だわ」
指摘されたのか、怒られたのか、それと
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