暁 〜小説投稿サイト〜
俺様勇者と武闘家日記
第2部
エジンベア
元戦士の店
[6/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

「え、ユウリがお化粧!?」
 その言葉に、私は耳を疑う。一体どういうことなんだろう。
「アルヴィス。純真無垢なミオにはあなたの仕事は理解できかねるみたいよ」
「そうねえ。アタシの仕事を理解するにはあと十年早いかもねえ」
 そんな二人の発言に、なんとなく田舎者呼ばわりされているような気がして、私は若干ムッとする。
「要するにアルヴィスの仕事って、お客さんにお化粧をしてあげるってことでしょ?」
 我ながら大人げないなと思いつつ理解した風に答えると、ビビアンが「せいかーい♪」と言いながらちらりとユウリの方を見た。
「世の中には、そういう趣味の人もいるってこと。その人たちのためのお店なの、ここは★」
 そう言ってにっこりと笑うアルヴィスに、いつになく必死な顔でユウリが詰め寄った。
「おい、その言い方だと俺までそういう考えの奴だと思われるだろ! そもそもお前が酔っぱらって無理やりあんなことをしたのが原因じゃないか!!」
 けれどアルヴィスは全く動じることなく、
「だってアナタ、随分辛気臭い顔をしてたんだもの。雰囲気だけでも明るくさせてあげようとしたんじゃない。でもまさかあんな予想以上の仕上がりになっちゃうんだもの。興奮してついご近所の皆さんにお披露目しちゃったワ」
 そう言ってユウリにウインクを放った。
「へえ、化粧したユウリって、そんなに可愛かったの?」
「そうねえ、『可愛い』っていうより、『高嶺の花』って感じかしら☆ 近寄りがたい雰囲気なんだけど、皆遠巻きにこっちをずっと見てるんだもの。でもその中の一人のコがねえ……」
「おい!! これ以上言うな!!」
「何々? もしかして本当に男の人に言い寄られたりでもした?」
ビビアンまでもがウキウキしながら興味津々でアルヴィスの話を促そうとするが、ユウリの殺気はすさまじく、それ以上何か言ったら本気で呪文を放ちかねない雰囲気を纏っていた。
 私としては、お化粧をしたらアルヴィスが興奮するくらい綺麗になれるユウリが羨ましい。現にユウリは私でもそうなるかも知れないと思って、わざわざここまで連れてきてくれたんだろう。
「いいなあ。私もユウリみたいになりたいなあ」
 つい本音を溢してしまったが、それがユウリの逆鱗に触れたらしく、突然無言で私の髪の毛を引っ張ってきた。
「ちょっと、何女の子の髪の毛引っ張ってんのよ、痛がってるじゃない!」
「こいつが馬鹿気たことを言うからだ」
 ビビアンが間に入ってくれたおかげで、私の髪はユウリの手から解放された。けれど今度はビビアンの方が怒りを露わにする。
「なんか、勇者っていう割にはずいぶん心が狭いのね」
「何だと!?」
 ユウリもその言葉が癇に障ったのか、ビビアンを睨み返した。二人の間に火花が見える。
「お前も踊り子のトップスターとかいう割には
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ