第2部
エジンベア
元戦士の店
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以上に脳筋なんだな」
どこか遠い目をしながらユウリは言った。
「そうね。だから最後の鍵っていうのも、浅瀬の祠ってとこにあるのは噂で聞いたけど、実際必要ないからって探そうとすらしなかったのよネ。考えたら、よくそれで魔王の城まで行ったものだワ」
うーん、やっぱりユウリのお父さんって変わって……、って、ちょっと待って、今、何て言った?
「浅瀬の祠? そこに最後の鍵があるのか?」
いち早く気づいたユウリが、アルヴィスさんに詰め寄る。
「昔聞いた話だし、行ったことないからホントかどうかは知らないわよ? けど、そういう話は何回か聞いたワ。そもそも浅瀬なんて世界中の海にあるじゃない。そんなに重要なこと?」
「それでも、情報がゼロよりましだ。船長に聞けばある程度場所は特定できるかもしれないからな」
わずかに口角を上げながらユウリが頷く。思わぬところで重要な情報が手に入り、私もつい喜んでしまう。
「横槍入れるようで悪いけど、本題に戻りましょ。つまりその最後の鍵ってやつを手に入れるには、ミオがコンテストで優勝しないとダメなんでしょ? だったら尚更アルヴィスの力が必要だわ。アルヴィスは二人に協力してくれる?」
ビビアンが話を元に戻してくれたお陰で、アルヴィスさんははっとして私たちに向き直る。
「そうだったわね。話が逸れたけど、そういうことならアタシも喜んで協力させてもらうワ!!」
「本当ですか!? ありがとうございます! アルヴィスさん!」
私がお礼を言うと、アルヴィスさんはちっちっ、と人差し指を左右に振り、
「堅苦しい挨拶はナシよ、ミオ。アタシのことはアルヴィスでいいから」
そう言って、ウインクを放った。
「あ、ありがとう! よろしくね、アルヴィス」
「ふふ、こんな将来が楽しみな子をアタシの手でどうにか出来るなんて、久々に腕が鳴るワ♪」
「そ、それどういう意味!?」
だがアルヴィスは自分の世界に入ってしまったのか、それ以上何も言わなかった。
なので、先ほどビビアンに尋ねた疑問を今度はアルヴィスにぶつけてみた。
「あのさ、アルヴィス。前から気になってたんだけど、このお店って一体何のお店なの?」
私の質問に、アルヴィスは意外そうな顔をした。
「あら、確かユウリくんもこの前このお店に来たわよネ? ミオには教えなかったの?」
急に話の矛先を向けられたユウリの体がびくりと激しく跳ねた。
確かあのときは機嫌が悪くて、結局何も話してくれなかったんだったっけ。
「ふん、あのときは疲れていたから何も覚えてない」
明らかに嘯くユウリの態度に、私は当時と同じ違和感を感じた。すると、アルヴィスが頭に石を落とされたくらい驚いた顔をした。
「やだぁ、覚えてないの!? あんなに本気出してメイクしてあげたのに、つれないワネ☆」
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