第2部
エジンベア
元戦士の店
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いているようには見えない。
「そうだわ! どうせならアルヴィスにも手伝ってもらいましょうよ! ちょうど今自分の店にいるはずだから、一緒に来て!」
そう言うと、ビビアンは私の手を取り、すぐさま稽古場を後にした。ユウリも何か言いたげではあったが、おとなしく後をついていく。
そしてこの時の私は、これから起こる二人の特訓の内容など知る由もなく、今日は良く手を引かれる日だなあ、と他人事のように考えていたのであった。
「アルヴィスー!! いるー!?」
勢いよくアルヴィスさんのお店の扉を開け放つが、生憎そこにいるはずの主の姿はなかった。
「この時間は開店の準備してるはずなのに……変ねえ」
がっかりした様子でビビアンは辺りを見回す。薄暗いアルヴィスさんの店は、一方には壁にかけられた数枚の大きな鏡と、それと向かい合わせになるように置かれた椅子、さらに反対側の壁の方にはカーテンが張り巡らされていて、一体何の店なのか見ただけでは全くわからなかった。
そういえば、最初にアッサラームに来たとき、ユウリはアルヴィスさんのお店に行ったはず。ならどんなお店なのか多少は知っているのではないか。
そう尋ねたかったのだが、気づけば何故か近くにユウリはいなかった。
「あれ? ユウリもいない……」
「やだ、本当だわ。どこ行ったのかしら」
ビビアンと同じく私も辺りを見回すが、ここにいるのは私たちのみ。途中ではぐれてしまったのだろうか?
「ま、いっか。多分アルヴィスはそんなに遠くまで出掛けてないはずなのよね。ちょっとここで待ってましょうよ」
確かに店の扉に鍵はかかっていないので、遠出をしているのは考えにくい。
ビビアンがちょうど近くにあった椅子に座ったので、私もすぐ側の椅子に腰かけることにした。
辺りがしんと静まり返ると何だか話をせずにはいられない性分の私は、店内を見回すと、前から思っていた疑問をビビアンに尋ねることにした。
「ねえビビアン。アルヴィスさんのお店って、一体何をやっているの?」
「あら、知らなかったの? アルヴィスはああ見えて……」
「あらヤダ、ユウリくんじゃないの!!」
すると窓の向こうから、聞き覚えのある野太い声が聞こえてきた。
「噂をすれば、なんとやらね」
ビビアンはすぐにその声の人物に気づき、椅子から下りて店を出ていく。私も彼女のあとに続いて外に出ると、ユウリとアルヴィスさんが何やら話をしてるではないか。いや、話というより、ユウリの方が一方的にアルヴィスさんに絡まれているように見える。
相変わらず逞しい体のアルヴィスさんは、以前会ったときは戦士の格好をしていたが、今は元通り(?)、バニースーツを身に付けている。
「やっほ〜、アルヴィス。ちょうどよかったわ。あなたに頼みたいことがあるんだけど」
「
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