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俺様勇者と武闘家日記
第2部
エジンベア
元戦士の店
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アンさん。
 ビビアンさんはシーラのかつての仕事仲間で、ここの劇場の踊り子として第一線で活躍している。美人で明るいだけでなく何かとお世話になったりして、私から見たら頼れる年の近いお姉さんと言った雰囲気である。ちなみにナギもビビアンさんの踊りを見てすっかり虜になっていたが、ビビアンさんにとってはあまり目立った印象は持たれていないようだ。
「お久しぶりです、ビビアンさん。訳あって、今シーラたちとは別行動をしてるんです」
「あら、そうなの? ていうか、そんなに年も離れてないんだし、さん付けなんかしなくていいわよ。敬語もいいから」
 そういってぱたぱたと手を振る。
「そ、そう? じゃあ私のこともミオって呼んで欲しいな」
「もちろん!」
 彼女との距離が親密になったところで、ビビアンは話をもとに戻す。
「で、私に一体何か用?」
 すると、ずいと一歩前に出るユウリ。何を言うのかと思ったら、
「こいつが美少女コンテストに優勝できるよう、協力してくれ」
「ええっ!?」
 と、いきなりとんでもないことを提案してきたではないか。
「びしょうじょ……コンテスト?」
 驚愕する私に対し、ポカンとした顔をするビビアン。そして言った張本人は不愛想な表情を一切崩さず、
「礼は出すから、このド田舎女をコンテストで優勝出来るように変身させてくれ」
 と、再びビビアンに頼んだ。しかしビビアンは眉をひそめる。
「ちょっと聞き捨てならないわね。ミオはこの素朴さが可愛いんじゃない。なんでわざわざ変える必要があるわけ?」
「……っ」
 まさか反論されるとは思ってなかったのか、一瞬言葉につまるユウリ。ていうか、ビビアンの可愛さに比べたら私なんて月とスライム以下なのだが。
「……エジンベアでは素朴さは全て田舎者扱いだ。田舎者である限り、あの国では出場どころか入国することすら出来ない」
「ええ……、なにその国……。意味わかんないんだけど」
「とにかく、こいつが優勝しないと最後の鍵が手に入らない。お前みたいに垢抜けた奴の助けが必要なんだ」
「う〜ん、なんか全然お願いされてる気がしないけど、まあいいわ。シーラの仲間のためだもの。協力するわ」
 え? なんだか急な展開についていけないけれど、私をコンテストに優勝させるために、ビビアンが協力してくれるってこと?
「ビビアン。大丈夫なの? 別に嫌なら断っても……」
 ユウリの無茶な申し出にもかかわらず、ビビアンは私の言葉をかき消すように首を横に振った。
「いやいや、むしろミオみたいな原石を私の手で磨き上げられるなんて楽しみでしかないわよ?」 
 そう言うと、野心に溢れた表情で私の肩を掴んだではないか。
「ただし……やるからには妥協は許さないからね」
「へっ!?」
 こちらを見返すビビアンの目は、とても嘘をつ
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