追想〜騎士姫の記憶〜
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私は、誰かを導くのが得意な人間だった。
私は一人っ子で、両親はとても私を可愛がってくれた。その事には感謝しているし、いつか恩返しをしたいとも考えている。二人はとても教育熱心で、どちらも博学だったため色々な事を教えてくれた。そのおかげで私は周りの人達から頭がいいねと誉められたが、誰も両親のおかげだねとは言わなかった。人は案外表面しか見ていないのだと知り落胆した。両親の行いを誰も称えなかったからだ
私は誰とでも仲良く出来る自信があるし、実際その通りだった。今思えば、自分はとても傲慢だったと分かり恥ずかしくなった。
・・・・・・・しかし、そんな私を快く思わない人達もいた。考えてみれば当然だ・・・・・・・そう、あの時も、そんな私が原因で、彼はあんなにも傷付いてしまったのだ
「あんた!あたしの彼氏に色目使ったでしょ!」
「え・・・・・・・何の事・・・・・・・?」
「とぼけたって無駄よ!出てきて!」
あるクラスメイトに呼び出された校舎裏。開口一番、私は彼女にそんな言いがかりを付けられた。勿論、そんな自覚は無い・・・・・・・
するとわらわらと三人の男子生徒が出てきた。私が所属するクラスに不良はいない(この学校は成績や態度などでクラス分けがされているのだ。ちなみに私は一組である)ので、雇ったか唆されでもしたのだろう。
「さぁ、もう二度とあいつに手ぇ出さないように、ずたずたにしてやりなさい!」
そう言うや否や、不良たちは私を取り囲み押さえつけた。全員が下品な笑いを浮かべている。ここまで私の思考は追い付いていない。
「え・・・・・・!いや!やめて!」
彼らが何をしようとしていたのかをやっと理解し暴れる。しかし簡単に押さえつけられ、拘束を強められてしまった。いや・・・・・・!!
その時、白い疾風が吹き抜けた。
「え・・・・・・・?」
白いと思ったのは感覚で、彼が着ていたのは黒いブレザーだった。私を押さえつけ陵辱しようとした男子生徒達と同じ制服。突然現れた彼には見覚えがあった。私のクラスでも噂になった、頭がよくてイケメンの男の子。私の後ろの席の、架田蔵人君だった。
「てめぇら・・・・・・いい加減にしろ!」
「はっ!王子様気取りってか!丁度てめぇにはむかついてたんだ、ここでリンチしてやるよ!」
不良の一人が蔵人君のハイキックで倒された事に動揺したのは一瞬で、すぐに二人めがナイフを取り出し降りかざす。しかし、蔵人君はとんでもない事をした。
「ドブネズミ以下の行為をよくもしてくれたな・・・・・・・内臓ごと吐き出しそうだぞ!」
なんと彼はナイフを左手で握り込んだのだ。勿論左手は斬り裂かれ血が噴き出す。
「痛くねぇんだよ・・・・・・・桐生さんの恐怖に比べれば、こんなも
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