暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−−鼠と鴉と撫子と
19,睡眠……
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前の風景が瓦解する。砂上の楼閣は形をそのままに、雰囲気を180度変えて俺の前に聳え立った。
背を向けて走り出す俺の脚はどうしてだか空回りで、全く進まない。
後ろから、追いかけてくる懐かしい人たち。だけど、先ほどとは違う。彼らに捕まってはいけないと本能が叫び、何とか進もうともがく。

いつも通り、俺は躓いて転んでしまった。立ち上がり方を忘れてしまったかのようにその場にへたり込む。
眼前のゴールはもうすぐなのに、そこから一歩も動けはしない。
ああ、もう駄目だ――大根役者はそう思う。

だけど、これは予定調和。
夢の舞台の千両役者はいつも現れ、俺の腕をぐっと掴んでくれるはずだ。が、

「―――やったでゴザルゥゥ」
「――ふぇ?」

耳元で響き渡った絶叫に俺の夢は見事、強制シャットダウンを遂げた。

寝ぼけ眼のまま、あたりを見渡す。
近代的な日本の住宅街の風景はどこにもなく、代わりに広大な芝生と西洋を思わせる水車付の平屋が目に映った。
よっぽどこちらの世界の方が浮世離れしているようにも思えるが、既に半年近い時間をこの風景の中で過ごしているとこの風景が日常であると断じることに躊躇はなかった。

そして視線を近場に――目の前のプレイヤー二人に目を向けた。
俺の右腕をガッシリと掴み、ウィンドウへと手を引っ張っていたこいつらには、見覚えがある様な無い様な。

創意工夫のあるファッションは黒色と紺色を基調としつつ、東洋風の布柄がふんだんに盛り込まれている。
そういえば最近、東洋風の装備品が発明されたと聞いた覚えがあったが、こんなところにフルコンプしている者がいようとは。

「「お久ぶりでゴザル。お頭」」
「――おう、とりあえず。手、離せ」
風魔忍軍の二人組――イスケとコタローは二人して2メートルほど後方に飛び、平伏の礼をするのだった。





「一応、聞いてやろう。お前ら二人、ここで何してる?」

空気上、さすがに打開しなくてはと思い、俺が声をかけると二人はともに面を上げた。
どうやら忍びのルールでは声をかけられるまでは体勢を変えてはいけないらしい。

「は、拙者らがここに来たところ、お頭が仮眠を取られているのを確認しまして」
「お頭の警護をさせてもらったでゴザル!!」
「け、警護……」

思わず、俺が寝ていた時間を想像した。
のんきに寝ている青いマントのプレイヤーをザ・忍ルックの二人が木の上から見守る図。

「別に、お頭の迷惑となることはしてないでゴザルよ」
「そうでゴザル。堂々とお頭を見て笑う無礼なスッパ者に天誅を与えただけでゴザル」

二人から武勇伝のごとく出てくるアンモラルな報告の数々が飛び出した。

全身緑色の重装甲パーティーが騒いでいたから、投剣をぶん投げたやら
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