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Fate/WizarDragonknight
暴走
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 降りかかるマグマに、可奈美の動きが鈍る。写シがなければ危なかったと感じながら、可奈美はさらに後ずさる。

「まだまだ行くよ!」

 美炎の剣の動きに合わせて、マグマが唸り声を上げる。あたかもマグマそのものが可奈美の命を飲み込もうと動いているように思えた。
 もはや、千鳥が受け止めているのは剣ではない。美炎の体内より霧散していくノロがマグマと混じり合い、蛇のように可奈美を襲う。

「この動き……剣から、凄い禍々しさを感じる……!」
「禍々しさ?」

 目を大きく見開いたままの美炎が、さらに動きに激しさを増していく。黒い兜の下ながら、その勢いは止まることをしらない。
 可奈美は加州清光を受け止め、そのまま足元へ流し落とす。そのまま加州清光を蹴り上げ。

「太阿之剣!」

 悪あがきに近い、可奈美の主力技。左足を大きく引き伸ばし、赤い写シが刀身に至り、そのまま伸びていく。
 今なら、まだ加州清光を防御に回すことはできないはず。
 だが。

火之R毘古(ひのかがびこのかみ)!」

 それは、暴走した美炎の技。
 同時に、兜の下で彼女の目が紅蓮に燃え上がる。左手で可奈美の腕からガードしたと同時に放たれる、一つ一つが彼女の主力技である神居を上回る威力のそれ。
 可奈美の太阿之剣、その長大な刀身を事細かに切り刻み、さらに可奈美の体にまでその刃が及ぶ。

「ぐっ!」

 最後に加州清光を可奈美の頭上に突き立てる。その高威力の斬撃は、可奈美の体から写シを剥がし、マグマへ投げ捨てた。

「っ……!」

 生身のままマグマに落ちれば命はない。マグマの海に接触する寸前で、可奈美はもう一度写シを張る。
 可奈美の体が地球の血液の中に沈むと、焦げるような熱さが全身を突き刺していく。

「ぐあああああああっ! 写シを剥がしたら、間違いなく死ぬ……! っ!?」

 だが、精神を摩耗し続ける可奈美が自らの状況以上に驚くことがあった。
 迷いなく溶岩の中に潜ってきた美炎。変わらず写シもなく、荒魂と化した体で溶岩の中を滑っていく。

「今度は水中戦……いや、溶岩戦だね!」

 縦横無尽に動く美炎。その動きは、あたかも溶岩の中を泳ぎ慣れているかのように、どんどん可奈美を追い詰めていく。

「っ!」

 下から切り上げてくる美炎。可奈美の防御さえも貫通し、可奈美はマグマの中から放り出された。

「がはっ!」

 空気に触れると同時に、その写シが剥がれる。全身を襲う熱さも相まって、口から息を全て吐きつくした可奈美。だが、そんな可奈美の腹を、美炎が踏みつけた。

「ぐっ!」
「あれ? どうしたの可奈美」

 美炎の加州清光が、可奈美の首元へ突き付けられる。欠けた切っ先が、今にも可奈美の首を掻
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