第2部
エジンベア
渇きの壺
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かくそんな重要なアイテムがここにあるのに、手に入らないんじゃ……」
「俺も最初はそう思っていた。だが、これを見て考えが変わった」
ユウリは懐から、一枚の紙を取り出した。
「これを見ろ」
そう言って私の眼前にその紙を広げて見せたので、私はまじまじとその紙に書かれている文章を読み上げる。
「美少女コンテスト?」
「王国主催の由緒あるイベントだそうだ。一週間後に行われるらしい。その下の方の文章をよく読んでみろ」
「ええと、『優勝者には、好きなものを何でも一つ、国王から褒美としてもらえる』だって」
「つまりお前には、一週間後に開かれるこのコンテストに優勝して、国王から渇きの壺を手に入れてもらう」
「へ?」
それはつまり、私に美少女コンテストに出場しろってこと?
あまりに突拍子もない発言に、一瞬思考回路が停止する。
「いやいやいやいや!! 私なんかが優勝なんて無理だって!! そもそもそれ以前に田舎者扱いされててまともに表すら出歩けないのに、何言ってるの!?」
私が必死で否定すると、ユウリは百も承知といった顔で私を見返した。
「そんなことはわかっている。だから、今から助っ人に頼むことにした」
「?」
助っ人って、一体何のことだろう、と思い首をかしげると、彼は何も言わずに私の手を取った。
「ユウリ?」
「ルーラ!」
そして私が疑問の声を上げると同時に、ユウリは移動呪文を唱えた。その瞬間、二人の体が一瞬にして空に舞い上がる。
「ええええっっ!!??」
何かに引き寄せられるかのように物凄い早さで空を飛んだかと思うと、何事かと考える暇もなく、瞬く間に目的地にたどり着いた。
「ここは…… 」
キョロキョロと辺りを見回してみると、見たことのある町並みが私の記憶を呼び起こす。そうだ、ここは一度来たことがある。
寒い季節なのに常夏のような暖かさ。人々は比較的露出の覆い服を着ており、何よりここは仲間であるシーラがかつていた場所。まさかここは……。
「アッサラーム?!」
そう、私たちが到着したのは、常に温暖な気候で開放的な町、そして以前訪れた場所でもある、アッサラームだったのだ。
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