第十八章 明木史奈救出作戦
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妹までが、攫われて、命の危険にさらされてんだからな」
「その通り。でも、こちらとしては、なんの罪もない女の子の命が不当に脅かされているわけで。メンシュヴェルトは本来、世界を救うための組織なわけで。だから、なんであれ絶対に譲れないことだと思うの、今回のことは」
眼鏡のレンズ、その奥に見える先生の目には、決心というのか、覚悟というのか、とにかく躊躇いは微塵も感じられなかった。
少しの沈黙の後、画面へと向き直ると、またキーを叩き始める。
叩きながら、ぼそり、口を開く。
「そもそも向こうが売った喧嘩、降り掛かる火の粉は払わなきゃならないし、こちらの身の安全を考えると、ここまでことが運んだなら、もう一気に決着をつけるしかない」
にやり、不敵な笑みを浮かべた。
不安も多々あれど、なればこそ、ということだろう。
「ごめん、みんな!」
治奈の大声。
床に擦り付けるくらいに、深く頭を下げていた。
「治奈、ちゃん……」
掛ける言葉が出ずに、つい名を呼んでしまったアサキであるが、その気持ちは、アサキには充分理解出来た。
自分の妹が誘拐されて、それを助けるために危険を冒してまでメンシュヴェルトやリヒトの情報網へアクセスしようとしている。その危険というのは、先生だけでなく、アサキや、カズミにまで及ぶかも知れないのだから。
「顔を上げてよ、治奈ちゃん。……フミちゃんだって、わたしたちの大切な友達なんだよ」
ようやく掛ける言葉が浮かんで、アサキは優しく微笑んだ。
といっても、かなり強張っていたかも知れないが。
治奈は、申し訳なさそうに顔を上げると、涙を拭った。
ふふっ。硬いか柔らかいか自分では分からないが、とにかくアサキは、もう一回笑った。
笑った瞬間、思い出したように背筋を張って、
「あ、そ、そうだ、カズミちゃん! あ、あの、いま、フミちゃんは?」
至垂徳柳とのやりとり途中で激高して、部屋を飛び出してしまったから、その後の状況がよく分かっていないのだ。
「そうだよなあ。ったく、あんな大事なやりとりの途中で、リストフォンを置いて出て行くバカがいるかよ」
カズミは呆れた表情で、アサキの鼻の頭を突っついた。
「ごめん」
怒りとか悲しい気持ちとか、フミちゃんが殺されちゃうという焦りで、頭が真っ白になって、どうしたらいいか分からなくって、気付けば自宅を飛び出して、治奈ちゃんの家へと走っていたのだ。
「東京の、リヒトの関東支部だよ。こないだ行ったとこだ」
アサキが、超魔道着を着た応芽と戦ったところ。
応芽の、最後の地になったところ。
そこに、史奈はいるというのだ。
「どういう
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