第十八章 明木史奈救出作戦
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、みんなで隣の部屋にすべての物を押し込んで、とりあえず(相対的に)綺麗な部屋を作ったのだ。
当然、今はそんな余裕はない。
床の空いたところに、いわれた通り適当に腰を下ろした。
「先生は、なにをしているの?」
アサキは、カズミへ尋ねた。
呼んでおきながら一心不乱に端末を操作している、須黒先生の姿を見ながら。
「リヒトの機密情報にアクセスしてんだよ」
「え、出来るの? そんなことが。メンシュヴェルトの一般回線でしょ?」
以前アサキは、大鳥正香から聞いたことがある。
メンシュヴェルトの情報網は、一般と上層用とで、論理回線ではなくそもそもの物理回線が異なっていると。
亡くなった樋口校長、確か組織内での立場は東葛地区のエリア支部長であったか、少なくとももあのクラスでないと、利用端末を与えられないはずだ。
「なんでも校長がさ、元情報部の技術員だったらしくて、いざって時のためこっそり色々と施してあって、いま操作してる端末も、その一つなんだってよ」
「え、え、で、でも、そしたら須黒先生がっ」
校長も、どこまでの技術力を持っていたのかは知らないが、リヒトを探ろうとした結果、ああなってしまったわけではないか。
リヒトの仕業だという、確証はないけれど。
でも、危険なことに変わりない。
「まあわたしも、リヒトを疑う者への見せしめのためと、令堂さんの精神をより追い込むために、殺されるんでしょうね」
須黒先生は、まったく目をそらさない。
テーブルに置いた端末の画面を見続け、両手の指で、空間投影キーボードを叩いている。
「そんな……」
ショックを受けるアサキであるが、でも樋口校長のようなことは起こらない、と断言出来るものでもない。
そもそもそう思ったから心配の声を上げたのに、自分で自分のいっいることが混乱してきた。
「斧で頭を割られるか、腹を裂かれ内臓を掻き出され……」
独り言のように続ける、須黒先生の言葉に、
「あまり物騒なことさらりというなよお、先生! 自分のことだぞ!」
カズミがイラついて、拳をテーブルに叩き付けた。
ようやく須黒先生は、キーを打つ手を止めると、顔を上げた。
眼鏡のフレームをつまみながら、カズミの顔を見た。
「他人事じゃないわよ。今後、昭刃さんと明木さんだって、令堂さんを追い込むための餌にされることだって考えられるんだからね。わたしたちグループ全体を、リヒトの敵だということで処分しようとすることだって考えられるんだからね」
「……まあ、そうだよな。現に、あたしたちどころかその家族までが、治奈の、
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