第十八章 明木史奈救出作戦
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どおん
五芒星の超巨大シールドに落ちた光弾が爆発し、低い音と共に地をぐらぐらと揺らす。
光弾も収まり、役目を果たした巨大五芒星が、ふわっと風に溶け消えた。
巨大な、影。
真っ白な、つまり漆黒の、巨大な影が、彼女たちの足元に広がっていた。
上空に、とてつもなく大きな物体が浮かんでおり、それがこの影を落としているのだ。
「ザーヴェラー……」
アサキの、上擦った声。
瞬時に覚ったからこそ、飛びのいてことなきを得たというのに、アサキは、あらためて名を声を出さずにいられなかった。
「なんで、こんな時に!」
カズミが舌打ちした。
「しかも、しかも……なんなんじゃ、この大きさは!」
治奈が驚き叫ぶのも、当然だろう。
数ヶ月前に、アサキたちはザーヴェラーと戦った。
生まれたての可能性が高い個体であったが、それでも、とてつもなく巨大。そう思っていた。
だが、いま上空に浮かんでいるそれは、その比ではなかった。五倍、いや十倍はあるだろうか。
全長二百メートルはあろうかという、文字通り、桁外れの大きさだったのである。
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震え上がって当然の、規格外の大きさだ。
だというのに、不思議とアサキは、恐怖を感じていなかった。
怖いはずなのに、怖くなかった。
自信であるのか、能力を読む直感力が育ったのか、早く史奈を助けねばという焦りと覚悟の故か、冷静、でもないが、恐怖はまったくなかった。
「大丈夫。わたしに任せて」
力強く微笑むと、力強く地を蹴った。
飛翔。
赤毛をなびかせ、アサキは飛び上がった。
ぶん
ぶん
数百メートルの上空から、アサキを目掛けて、ザーヴェラーの赤黒い光弾が撃ち出される。
すうっ、と円弧を描き避けたアサキは、続いて襲う光弾を手の甲で難なく払いのけた。
返す手のひらを、青白く輝かせて、右手に持っている洋剣の先端から根本へとエンチャント魔法を施していく。
ザーヴェラーの高さを遥か越えると、
今度は、遥か下にいるザーヴェラーへと飛翔。つまり落下の勢いを魔法で加速させた。
「やあああああああああああ!」
頭上へ振り上げた、青く輝く剣。
天も割れよ、地も砕けよとばかり、雄叫びを張り上げながら、思い切り振り下ろした。
熊と蚤ほどもサイズが違うというのに、その桁外れに常識外の巨大ザーヴェラーが、頭から、尾まで、見るも簡単に両断されていた。
二つに分かれても、なお巨大な物体が、浮力を無くし、落下を始めた。
と、見えたその瞬間、
ぼしっ
巨体がすべて、きらきら輝く粒子になり、空気に溶けて風に消えた。
まだ溶け残って
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