第十八章 明木史奈救出作戦
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「今度こそ、行ってきます!」
カズミは、真顔でこくり頷く須黒先生に見つめられながら、リストフォンを着けた左腕を立てた。
カーテンを開く動作で腕を横に動かして、一歩、足を踏み出す。
すっ、
とカズミの身体が薄く、半透明に、いや夜の闇に溶けて、ほとんど見えないほどになっていた。
異相同位空間、略して異空、同じ場所でありながらまるで異なる空間へと入ったのだ。
カズミの身体が。
なお、うっすらとはいえ、異なる空間にいる者が見えるのは、彼女たちが魔力を鍛錬しているからであり、普通は見えない。
素質のある、十代女性であろうともだ。ある程度は訓練で磨かないと、魔力の目は開花しない。
アサキは、訓練なしで初めから、次元境界の向こうが見えていたが、これは例外中の例外なのである。
「絶対にフミちゃんを救い出し、戻ってきます」
アサキも、リストフォンを着けた左腕を立てた。
圧倒的な魔力量を体内に宿し、制御する術も身に付けたアサキにとってはもう、異空への移動にクラフトの制御補助は不要だ。
だが、戻ってきたクラフトの機能を試してみる意味で、リストフォンを立て、異空へのカーテンを開いた。
赤毛髪が、闇に溶け透明になり、カズミの横に立って、こちらを向いた。
「笑顔で、報告をするけえね。必ず」
少し強張った顔の、治奈。
決心と恐れ、不安の混じった、硬い笑みを浮かべながら、異空へ入った。
続いて、祥子が、さらに万延子が、カーテンを開いて、
一歩、前へ。
夜で暗いからこそ、白い、
色調の完全に反転している、
道路や建物の形状が、歪みに歪み、
腐臭に満ちた、
狂った世界、
異空へと、
ここにいる、須黒先生以外の全員が、こうして足を踏み入れたのである。
現界に残っているのは、須黒先生ただ一人。
異空の側から見ると、先生の方こそが、透明なフィルムが間に敷かれているかのように、薄く、ぼやけて見える。
異空の側で、五人、
アサキ、治奈、カズミ、祥子、延子、
無言のまま、小さく頷き合った。
「変身!」
同じタイミングで全員が、リストフォンを着けた左腕を振り上げ、叫んだ。
腕を下ろしながら、側面にあるスイッチを押した。
「魔法使いアサキ!」
赤と白銀の魔道着を着た、アサキの姿が、そこにあった。
「魔法使いカズミ!」
青と白銀の魔道着を着た、カズミの姿。
「魔法使い治奈!」
紫と白銀の魔道着、治奈。
「|魔法使い《マギマイス
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