暁 〜小説投稿サイト〜
魔法使い×あさき☆彡
第十八章 明木史奈救出作戦
[14/17]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
「今度こそ、行ってきます!」

 カズミは、真顔でこくり頷く()(ぐろ)先生に見つめられながら、リストフォンを着けた左腕を立てた。
 カーテンを開く動作で腕を横に動かして、一歩、足を踏み出す。

 すっ、
 とカズミの身体が薄く、半透明に、いや夜の闇に溶けて、ほとんど見えないほどになっていた。

 ()(そう)(どう)()空間、略して異空、同じ場所でありながらまるで異なる空間へと入ったのだ。
 カズミの身体が。

 なお、うっすらとはいえ、異なる空間にいる者が見えるのは、彼女たちが魔力を鍛錬しているからであり、普通は見えない。
 素質のある、十代女性であろうともだ。ある程度は訓練で磨かないと、魔力の目は開花しない。

 アサキは、訓練なしで初めから、次元境界の向こうが見えていたが、これは例外中の例外なのである。

「絶対にフミちゃんを救い出し、戻ってきます」

 アサキも、リストフォンを着けた左腕を立てた。

 圧倒的な魔力量を体内に宿し、制御する術も身に付けたアサキにとってはもう、異空への移動にクラフトの制御補助は不要だ。
 だが、戻ってきたクラフトの機能を試してみる意味で、リストフォンを立て、異空へのカーテンを開いた。

 赤毛髪が、闇に溶け透明になり、カズミの横に立って、こちらを向いた。

「笑顔で、報告をするけえね。必ず」

 少し強張った顔の、治奈。
 決心と恐れ、不安の混じった、硬い笑みを浮かべながら、異空へ入った。

 続いて、(しよう)()が、さらに万延子が、カーテンを開いて、

 一歩、前へ。

 夜で暗いからこそ、白い、
 色調の完全に反転している、
 道路や建物の形状が、歪みに歪み、
 腐臭に満ちた、
 狂った世界、
 異空へと、
 ここにいる、須黒先生以外の全員が、こうして足を踏み入れたのである。

 現界に残っているのは、須黒先生ただ一人。

 異空の側から見ると、先生の方こそが、透明なフィルムが間に敷かれているかのように、薄く、ぼやけて見える。

 異空の側で、五人、
 アサキ、治奈、カズミ、祥子、延子、
 無言のまま、小さく頷き合った。

「変身!」

 同じタイミングで全員が、リストフォンを着けた左腕を振り上げ、叫んだ。

 腕を下ろしながら、側面にあるスイッチを押した。

魔法使い(マギマイスター)アサキ!」

 赤と白銀の魔道着を着た、アサキの姿が、そこにあった。

魔法使い(マギマイスター)カズミ!」

 青と白銀の魔道着を着た、カズミの姿。

魔法使い(マギマイスター)治奈!」

 紫と白銀の魔道着、治奈。

「|魔法使い《マギマイス
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ