第十八章 明木史奈救出作戦
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ぐろ》美里先生の顔が映った。
「話は、昭刃さんから簡単に聞いたわ。みんな、すぐうちにきて!」
二分割画面の右側、須黒先生は緊迫した顔でいった。
真剣な顔をしているが、この事態に対してまるで狼狽えていない。
焦りは感じるが、それ以上に冷静を感じる。
長い間、魔法使いとしてヴァイスタと戦い場数を踏んできた強さや、教師としての責任で、治奈を無駄に不安にさせないようにと、不安を裏に押し殺しているのだろう。
「分かりました」
アサキが、治奈のリストフォンを覗き込んで、先生の映像へと応えた。
「治奈ちゃん、行こう!」
顔を上げた赤毛の少女は、泣いているばかりの親友の手を掴み、引いて走り出す。
引かれるまま、半ばうつむいたまま、一緒に走る治奈であるが、その足取りは当然ながら元気なく、反対にアサキを引っ張ってしまう。
「ほら、もっと速く走って!」
「分かっちょるけど。……フミ……酷い目に、遭わされていたらどうしよう。もし、殺されて……」
「そういうこといわない!」
アサキは、金切り声を張り上げた。
「ごめん。……ほじゃけど、ほじゃけど」
「絶対に、大丈夫だから」
微笑んだ。
かなり無理のある笑顔だったが。
でも、絶対だ。
絶対にフミちゃんは無事だ。
絶対に。
「ありがとう。アサキちゃん」
ずっ。また治奈が、鼻をすすった。
2
それから数分後。
アサキと治奈の二人は、須黒先生の暮らす五階建てマンションに到着した。
二人とも、膝に手を当てぜいはあ息を切らせている。
エントランスの階段前には、真っ赤な自転車いわゆるママチャリが横倒しされている。カズミの、アントワネット号だ。
アサキと治奈の二人は、息が整うのを待たず中へ入る。
オートロックドアを開けて貰い、エレベーターでマンションの四階へ、通路へ。
以前、この通路でヴァイスタと激しい戦闘をしたことがあるが、現在は息遣いが聞こえそうなほどに静まり返っている。
「おせえよ!」
一番奥の玄関ドアが開いて、カズミがひょこりと顔を覗かせた。
「ごめん」
アサキは謝りながら、素早く靴を脱いで中に入った。
蒼白な顔で、治奈も続く。
リビングのテーブルで、須黒先生が、ノートブック型の端末を真剣な表情で操作している。
「適当に座ってて」
画面から目を離さずに、さらりという先生であるが、
このリビングも、繋がっている和室も、大小様々な物がまるで片付けられておらず、いわゆるゴミの山、酷い状態であった。
以前にここへきた時も同様で
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