脱出劇
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ちなさいよ!!シリル!!」
「何言ってるの〜!?」
言葉を失っているウェンディとその後ろからずっと一緒にいた友の声が聞こえてくる。その声で心が揺れるが、唇を噛み何とか正気を保つ。
「さぁ、シリル。行こうじゃないか」
右手を差し出す天使。この手を取ればみんなを守れる。危険な状態ではあるけど、レオンもシェリアとウェンディが治癒すれば大丈夫なはず・・・みんなの命が守れるなら、自分が犠牲になることくらい小さなことじゃないか。
そう自分に言い聞かせ彼の手を取ろうと手を伸ばす。その手を取れば全てが解決。そう思いながら手を取ろうとした瞬間・・・
「!!」
その間に割って入るように謎の空間が現れる。
「なんだ?」
それを見て俺も天使も距離を取るように後方へと飛ぶ。離れながらその空間を見ていると、中から腕が伸びてきて・・・
「んっ!!」
天使の顔をガッチリと掴む。
その腕の主は謎の空間から姿を現すとホールドした相手をそのまま押し出すように体当たりをする。
「皆、大丈夫か?」
黒いマントを身に纏った青年が壁まで天使を押し出すと、遅れてチャイナ服を纏った、髪の毛を二つのお団子に纏めている女性が現れ、こちらに視線を向ける。
「ローグさん!!」
「ミネルバさん!?」
天使を抑えているのは影竜ことローグさん。そしてこの空間はミネルバさんの絶対領域だったらしい。
「お嬢!!こっちはもうオッケーだ!!」
すると今度は外から聞き慣れた声が聞こえてくる。今の声はグラシアンさんか?なんで彼らがここにいるのかさっぱり頭が回らない。
「わかった!!グラシアン!!こっちに来てくれ!!」
「了解!!」
ミネルバさんの指示を受けたと同時にローグさんの真後ろに再び同じ空間が姿を現す。つまりグラシアンさんはミネルバさんに変化してこの魔法を使っているというわけか。
「なんだい?せっかく君たちのためを思っての行動だと言うのに・・・それを無為にする気かい?」
「俺たちのため?悪いが余計なお世話だ」
ローグさんの手を引き剥がそうとする彼とそれを防ごうと影竜。二人の力は拮抗しているようで、唾是った状態が続いている。
「お前たち!!早くここに入れ!!ここから離れるぞ!!」
「え!?でも・・・」
「いいから!!」
ミネルバさんから手を引かれその空間の中に入る俺たち。その間もローグさんは天使の動きを封じ込めることに力を尽くしている。
「シリルを渡せば君たちは救われる。だがそれが出来ないようなら、お前たちはほどなくして死ぬぞ」
「あいつを渡すくらいなら、そうなっても構わないさ。俺たちはもう誰も失いたくないんだ!!」
アルバレスとの戦いで何人もの仲間の
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ