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台風が過ぎて
第二章

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「だからね」
「台風もな」
「悪いことばかりじゃないわ」
「そうだな、それじゃあな」
「田んぼのことは気になっても」
「落ち着いてな」
「過ぎるのを待ちましょう」
 こう言うのだった。
「今は」
「そうだな、わし等には何も出来ないしな」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「今はね」
「待とうな」
「夜に来るけれど」
 今度の台風はというのだ。
「夜は寝て」
「危なくなったら避難してな」
「避難勧告が来たらね」
 その時はというのだ。
「庸一達を起こして」
「そしてな」
 息子夫婦をというのだ、言うまでもなくそこには孫達も入っている。二人共孫達をかなり可愛がっている。
「行こうか」
「そうね」
「軽トラもあるしな」
「家の車もね」
「それに乗って」 
 避難勧告が出たらというのだ。
「すぐに学校か公民館まで行くか」
「そうしましょう、じゃあ今夜は」
「まずは寝るか」
「ゆっくりとね」
 避難勧告が出ない限りはとだ、こう話してだった。
 二人は夕食を食べて風呂に入った後で床に入った、見れば夫はいつもの晩酌も取らずそうして床に入った。
「飲むとな」
「車運転出来ないからね」
「婆さんも免許持ってるがな」
 しかしというのだ。
「それでもな」
「運転はお爺さんの方が上手いしね」
「だからな」 
 それでというのだ。
「わしもこうした日はな」
「飲まないわね」
「ああ、ちょっとでも飲むとな」
 そうしたらというのだ。
「車は乗れないからな」
「だからね」
「今日はな」
「飲まないで」
「そしてな」
 それでというのだ。
「寝るな」
「それがいいわね」
「ああ、それじゃあな」
「明日は晴れるわ」
 台風が過ぎればというのだ。
「それで空気もね」
「すっきりしたものになるな」
「だから」 
 そうなるからだというのだ。
「明日の朝のことをね」
「楽しみにしてか」
「今は避難勧告が出ないことを願って」
 そうしてというのだ。
「寝ましょう」
「それがいいわね」
「そうだな」
 夫も頷いてだった。
 二人はその夜は寝た、幸い避難勧告は出ず。
 ぐっすりと寝られた、それでだった。
 夫は起きるとすぐに寝室の窓を開けた、だが。
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