第一章
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I WANNA CHANCE
中学から私立の女子校で大学までそうだった、それで就職したけれど。
今の職場も女の人ばかりだ、気兼ねはしないけれどそれでも出会いはない。その筈だけれどこの職場では。
次々と結婚して入社して三年目の私以外は皆結婚しているか婚約しているかそれを前提としているかだ。
女の人ばかりなのに不思議に思っていると四十代半ばでお子さんが三人おられても瑞々しいお肌で黒髪も奇麗な社長さんが私に直接言ってきた。正直三十代前半でも通じる位の若さと奇麗さだと思う。二十代でこのアパレルメーカーを立ち上げて順調に業績を伸ばしている人だ。
「この会社女性ばかりでも結婚してるでしょ」
「実はそれが不思議で」
私は社長さんに直接答えた。
「どうしてでしょうか」
「それはチャンスがあるからよ」
「チャンスですか」
「いい人と出会えるね」
「だからですか」
「そうよ、皆そのチャンスを手に入れてね」
そうしてとだ、社長さんは洒落たオフィスの休憩室で紅茶を飲みつつ私に話してくれた。会社の中で向かい合って紅茶を飲みながらお話をしているのだ。
「それでなのよ」
「結婚もですか」
「しているのよ。だから貴女もね」
「チャンスをですか」
「探してね」
「手に入れてですか」
「幸せを手に入れなさい、結婚だけが幸せでないけれど」
それでもとだ、社長さんは私に微笑んで話した。
「素敵な人とずっと一緒にいられることはね」
「幸せなことですね」
「そのこと自体がね。だからね」
それでというのだ。
「貴女もね」
「チャンスを見付けて手に入れて」
「それを幸せに変えるのよ。皆それが出来ているから」
だからだというのだ。
「幸せになるのよ」
「それじゃあ」
「お仕事も頑張って」
「そちらもですね」
「頑張ってね」
「わかりました」
私は社長さんに確かな声で応えた、この時はこれで終わりだった。けれど。
私はこの時から何かと男の人それも素敵な人との出会いの機会を探す様になった、そうしたサイトに登録したり合コンに出たり両親に話してお見合いの場も用意してくれる様にお願いした。そうしている中で。
数ヶ月経った、だがサイトではこれという人はいなくて合コンもお見合いも思う様に時間が取れなくてだった。
思う様に勧めなかった、それで次第にそうしたチャンス自体が欲しいと思った。するとここでまた社長さんが私にお話してくれた。
「焦ってるかしら」
「少し」
私は社長さんに答えた、今もオフィスの休憩室で一緒に紅茶を飲んでいる。そうしながらの話だ。
「中々出会いの機会を持てなくて」
「その機会、チャンス自体がなのね」
「今は欲しいです」
社長さんに自分の考えをありのまま
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