第2部
エジンベア
謎の少女
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んの姿に苦笑いを浮かべる。そしてその後、ユウリが再び店に戻るまで、マギーさんの勇者に対する熱い思いをひたすら聞かされたのだった。
「明日は城に行って、国王に会ってくる」
結局ユウリがマギーの店に戻ってきたのは、夕暮れ時だった。
どうせユウリ一人で行っても田舎者扱いされるだろう……いやされればいいと高をくくっていたのだが、どういうわけか誰も彼を田舎者扱いしなかったと言う。
ということはやはり、私が一緒にいたからユウリまで田舎者扱いされていたということだ。
しかも、大胆にもユウリは最後の鍵の情報収集のためお城まで行き、王様との謁見も約束したらしい。衛兵の話によると、明日の午前中に入城すれば会えるそうだ。
「……」
だがそんなトントン拍子で進んだ話も、私には皮肉にしか聞こえない。
私がいなかったことでここまで事が進んだのだ。喜んでいいのか怒っていいのか、こっちとしては複雑な心境だ。
「ミオさん、あまりお気になさらない方がいいですよ」
ユウリを待っている間、マギーとは多少打ち解けるようにはなったが、今の私はうかつに近づくなオーラを放っているからか、心なしか彼女も距離を置いて接している。
「そんなに気に病むな。たまたまお前とこの国の相性が悪かっただけだろ」
いつにもましてユウリも声をかけてくるが、それが逆に神経を逆なでしているのに本人は気づかない。いやもしかして、気づいて言っているのだろうか?
「いいよね、ユウリは田舎者扱いされてないんだから。私なんか、下手したらこの店から一歩も出られないんだからね」
一度試しに店の外に出ようとした。するとたまたま店の前を通りかかった通行人が私の方を見て、くすくす笑ったではないか。その瞬間、私は頭に血が上り、急いで店の扉を閉めた。そう、私はこの国では通行人ですら嘲笑される存在なのだ。
そのため店内にいてもマギーの店に迷惑がかかると思い、私はお客さんから見えないよう店の奥に隠れて座っている。幸い人の少ない時間帯だからか、マギーもちょくちょく私の様子を見にきてくれた。
そんな憮然としている私に、さすがのユウリもこれ以上は何も言わなかった。
田舎者の私が行けば、せっかく王様との約束を取り次いだユウリの苦労が水の泡になる。一人取り残されるのは正直寂しいし、悔しいけれど、最後の鍵を手に入れるためならば、ここはおとなしくしていた方が良さそうだ。
「それじゃあユウリ、明日はよろしくね」
別に嫌味で言ったわけではないのだが、なんとなくそういう雰囲気で受け取ったのだろう。今度はユウリの方が不機嫌そうな顔を見せる。
「いつまで拗ねてるんだ。そろそろ船に戻るぞ」
「あ……、うん」
「ミオさん、勇者様がお城に行っている間、またここで待っていただいても構わないですよ。私、二人のお話
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