第2部
エジンベア
謎の少女
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人間は周りに迷惑かけてないはずだけど?
この国で田舎者と呼んだ人たちの顔を思い浮かべ、私は徐々に怒りが込み上げてくる。
だがそんな私の心中などつゆ知らず、二人で納得した顔をしている。こんな形で意気投合しないでほしい。
「今度は俺一人で別の店に入って確かめてみる。お前はここで待ってろ」
「えっ、ちょっと……」
いきなりそう言い放ち外に出るユウリを見送ると、私の中の怒りが消化不良のまましぼんでいく。
「……行っちゃいましたね」
「もう! 勝手すぎるよ!!」
文句を言う間も与えずさっさといなくなったユウリに、私は吐き捨てるように悪態をつく。
そしてふと、今ごろになって衛兵とのやり取りを思い出した。
「そういえば、マギーさんが私たちに何かを投げた後、私たちの体が消えたけど、いったい何を投げたんです?」
「ああ、あれは『消え去り草』って言って、体に振りかけると姿を消すことが出来るんです。あまり店では出回らない道具なんですが、護身用に使えるかと思っていつも持ち歩いてたんです」
「消え去り草?」
聞いたことのない名前だ。ひょっとしたら旅商人である私のお父さんが扱っていたかもしれないが、どちらにしろこんな便利な道具があるなんて知らなかった。
「はい。といっても悪いことには使いませんよ? むしろ勇者様たちを助けるために使えて良かったです」
「ありがとうございます。お陰で助かりました」
私は改めてお礼を言う。
「それは良かったです。消え去り草は、もともと一部の地域でしか出回らないうえに、今はどこの国も入国禁止令が発令されたりして、なかなか手に入らないんですよ。私が持っていたのは何年も前に行商人から買ったものなのですが、それ以降は店でもお目にかかったことはないですね」
「そんな貴重なものを使わせてしまって……すいません」
申し訳ない気持ちになりながら私が謝ると、マギーさんは私の手を取り、首を振った。
「先ほども言いましたが、お二人を助けることができてよかったと思ってます。きっと消え去り草を今まで使わなかったのも、この日のためだったんですよ。だから、あまりお気になさらないでください」
そういうと、マギーさんはにっこりと微笑んだ。私と同年代とは思えないその大人びた雰囲気に、思わず私はどぎまぎしてしまう。
よく見ると、眼鏡越しに映るマギーさんの紫の瞳はとてもきれいで、まるで宝石のようだった。加えて長いまつげに白い肌。小顔の割に眼鏡が大きいから気づかなかったが、彼女は相当の美人だ。
「それに、勇者様を助けたことでお役に立てたのなら、この上なく本望です。自分も勇者様の冒険に関わった感じがして、今思い返しても嬉しさが抑えきれなくて……」
「そ、そうなんだ」
外見と中身のギャップに戸惑いながらも、私は恍惚としているマギーさ
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