第2部
エジンベア
謎の少女
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ような完璧な勇者だと思ったけど、今のマギーさんもそういう心境なのだろう。私の場合、彼の第一声でその理想像は瞬く間に崩れ去ったから、彼女も彼の振る舞いを見て、私の二の舞にならないことを願いたい。
ひとしきり落ち着いたところで、マギーさんは私たちに向き直った。
「ところでお二人とも、どのようなご入り用ですか?」
するとユウリが待ってましたとばかりに、懐から財布を取り出した。
「金はいくらでも出す。田舎者と呼ばれないような服があったら売ってくれないか?」
「え?」
こういうお客の対応に慣れていないのか、しばしポカンと口を開けるマギーさん。確かにそんな言い回しで店員に尋ねるお客さんはいないだろう。
私は状況が把握できないマギーさんに、簡単な説明をした。
「……というわけで、どのお店も私たちを田舎者扱いして、まともに取り合ってくれないんです。これじゃ欲しい物も情報も手に入らなくて……。なので最低限田舎者に見られない服装をしようかと思って」
「なるほど……、それは困りますね……。ただ私の店は主に服を手直ししたりするのが仕事なので、すぐに服を用意することは出来ないんです。三日ほどお時間をいただければすぐにお作りすることはできますが……」
「それじゃ遅い。すぐに必要なんだ」
「そうですよね……。すみません、お役に立てなくて」
「気にしないでください。マギーさん」
けれどマギーさんは、なんとか私たちを助けようと、何やら考え込んでいる。すると、私の方をちらちらと見てくるではないか。
「何か私の顔についてます?」
「あ! ……ごめんなさい。あの……勇者様のお仲間にこんなことを言うのも失礼ですが、服装を変えるだけではあまり意味がないかと……」
「え!? どういうこと!?」
私はついカウンターから身を乗り出して尋ねる。マギーさんは言いにくそうにしながらも、意を決したように口を開いた。
「その……、ミオさんからはどうしても田舎者らしさが滲み出てるんです。おそらく外見を多少変えるぐらいでは、この国の人たちには通用しないかと思います」
「はぁ!?」
田舎者らしさが滲み出てる!? 何その言葉初めて聞いたんだけど!?
マギーさんに悪気はないとは思いつつも、不満の声を上げる私。すると隣で何やら肩を震わせているではないか。
「ユウリ!! こんな時に笑わないでよ!!」
そう、こういう時は決まってユウリは声を押し殺して笑うのだ。完全に馬鹿にしているとしか思えない。
「いや、確かに一理ある。お前と一緒にいたから俺まで田舎者扱いされたんだ。そうでなければ俺まで田舎者にされるはずがない」
「ミオさんのお人柄が良いのはわかっています。ですが、それを上回るほど圧倒的に田舎者なんですよね」
田舎者田舎者って……、そんなに馬鹿にされるほど田舎の
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