第2部
エジンベア
謎の少女
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」
「残念ですが、ここは田舎者が入店できるお店ではないんですよ。どうかお引き取りくださいませ」
と、こんな感じでとりつく島もなく入店すら拒否される。まあ、入る店のほとんどが高級なドレスやスーツばかり売っているからと言うのもあるのだが。
隣にいるユウリを見やれば、再びエジンベアを滅ぼそうとする気満々のオーラを放ち続けている。もはや爆発するのも時間の問題だ。
「ねえ、変装するのはやめて、地道に情報を集めた方がいいんじゃない?」
私がそう提案すると、ユウリは渋面に満ちた顔で、
「お前、あれだけ田舎者呼ばわりされて悔しくないのか!?」
「いや……。別に普段からユウリにもさんざん言われてるし……」
「お前は正真正銘田舎者だからまだいいけどな、俺はアリアハンの王宮に頻繁に出入りするくらい王家とはかかわりが深いんだぞ! それなのに俺を田舎者呼ばわりするなんて、この国の奴らはどうかしている!」
いや、それとこれとは関係ないような……。
「それに情報を集めるにも、服屋だけじゃなく他の奴らからも同じような反応をされるかもしれないだろ! だったら少しでも田舎者と呼ばれない格好をした方がマシだろうが」
「そりゃあそうだけど……」
「まだ全ての店を回っていない。もしかしたら変わり者もいるかもしれないだろ」
そう言い放つと、ユウリはまた別のお店に入ってしまった。よくわからないが、彼のプライドが大分傷つけられたと言うのは理解できる。
仕方なく私はユウリの後を追い、彼が入ったお店に入ることにした。するとそこは、今まで入ったお店とは一風変わった、素朴な雰囲気の明るい店内だった。可愛らしい小物や装飾品などが随所に飾られ、眺めるだけで購買意欲を掻き立てられる。
「いらっしゃいま……、あっ、あなた方は!?」
『!?』
聞き覚えのある高い声に、思わず二人とも店の奥にあるカウンターを振り向く。なんと、そこに立っていたのは、 先ほどユウリを助けてくれた銀縁眼鏡の少女だった。
なぜ彼女がここに? という疑問と、再び出会えたことによる喜びがいっぺんに押し寄せてくるが、まずは一言言わねばならない。
「あのっ、さっきは助けてくれてありがとうございます!」
カウンターまで足早に向かうと、私は早速お礼を言った。
「いえいえ、勇者様たちが困っていたのですもの。助けて当然です。あ、自己紹介が遅くなりました。私はここの仕立て屋の娘でマギーと申します」
「私はミオ。それでこの人が……」
「ユウリだ」
私の言葉を遮るようにマギーさんに名乗るユウリ。
「勇者のユウリ様ですね! よろしくお願いします!」
嬉々とした表情で挨拶をするマギーさん。ユウリを勇者物語の主人公と言うだけあって、彼を見た途端瞳を輝かせている。
「あの、さっきはなんで助けてくれたんです
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