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冥王来訪
第二部 1978年
ミンスクへ
ベルリン その2
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トリクス)と、ベルンハルト嬢を穏当な手段で篭絡せしめれば、この件は最良であろうと考えられる。
極力我々は、関知しない」
「アスクマン少佐、彼女等の愛国心や民族愛に沿う様な自発的行動を待たれると言う事ですな」
指揮棒で、手袋をした左手を叩く
「そうだ。通産官僚と外務官僚の娘。
下手に粗暴な手段を使えば、党や他省庁からの信用失墜に繋がる。
それに、ベルンハルト嬢の背景は、すでに私の方では、把握済みだ」
曹長は、身を乗り出して尋ねた
「如何様にして知り得たのですか」
彼は、腕を組んで背中を後ろに倒す
「貴様等には、特別に話してやろう。
実はな、ベルンハルト嬢の生母は、わが方の協力者として、すでに篭絡させている」
一同に衝撃が走った
アスクマン少佐は、不敵な笑みを浮かべながら、続けた
「10年ほど前、彼女(メルツィーデス)に職員が不倫相手として接触し、情報を入手したのだ。
その際、外交官であった彼女の夫を、酒漬けにさせ、精神分裂病と言う事で収監させた。
彼女は体制批判をしたと言う事で通報してきたが、本心でダウム君に惚れ込んだと私は考えている。
それ故に、かの令嬢(アイリス)も、その兄君(ユルゲン)の空軍中尉も(つぶさ)に状況が分かっているのだよ」
ゾーネ少尉が、問うた
「詰り、遠くから丸裸の姿を覗き見ていると言う事ですか」
彼は冷笑を浮かべる
「その通りだ。
そして、アーベル・ブレーメは我が方を利用しているつもりでいる愚か者故、自在に奴の動きが判る。
あの天香国色(てんこうこくしょく)御令嬢(ベアトリクス)も、裸体を曝け出して歩くが如く状態である事を奴は知らなんだ。
我等は、その天女の舞を特等席で楽しみ、愛でているという状態なのだよ。
諸君!」
狭く、静まり返った室内に、彼の嘲笑が響き渡る
その眼光は鋭く、まるで獲物を狩る獣の様であった




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