第三章
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「別に」
「ええ、飲んで食べるだけだしね」
「そうだよね」
「それじゃあね」
「このまま食べてもいいね」
「そうね、ただね」
千鶴はここでこうも言った。
「飲んで食べる時を見られても何でもないけれど」
「どうかしたのかな」
「屏風で思ったけれど」
こう黒田に言うのだった。
「それで仕切ってお布団敷いてね」
「あっ、吉原みたいな」
恵那は千鶴の言いたいことを察して言った。
「そうしたことしてて」
「覗かれたらね」
「滅茶苦茶焦りますね」
「怖いわね」
「誰かって」
「そうよね、今思ったけれど」
その屏風のぞきを見つつ言った。
「そうよね」
「それは怖いですね」
「それ狙いの妖怪かしら」
「それならいやらしいですね」
「それここで言う?」
黒田は恵那に話した千鶴を見つつ言った。
「僕もいるのに」
「別に飾る間柄でもないでしょ」
千鶴は飲みつつ返した、見れば目が少し座ってきている。
「子供の頃からの付き合いだしね」
「そう言ってもそうした間柄じゃないからね」
「私敬虔ないわよ」
「僕もだよ、だから余計にそうした話は」
「思っただけよ」
今度は肉を食べつつ話した。
「だから聞き流してね」
「そういうことなんだ」
「そうよ、というかもう高校生だから」
千鶴は今度はこう言った。
「こんなお話位いいでしょ」
「吉原とか」
「そうよ、まあ兎に角のぞくだけの妖怪ならね」
それだけで何もしないならというのだ。
「気にしないでこのままね」
「飲んでだね」
「そして食べればいいわ、あと少しだしね」
もう肉も他の具も殆どない、鍋の中に少し残っているだけだ。
「食べ終えましょう」
「それじゃあね」
「妖怪さんも食べればいいんですけれどね」
恵那は飲みながら笑って話した。
「のぞくだけですから」
「それじゃあ仕方ないわね」
「何も喋らないですし」
「悪いこともしないしそれならいいわ」
「吉原とかでのぞかれたら困るだけですね」
「本当にね」
こう言ってだった。
千鶴は肉の最後の一切れを黒田の碗に入れて食べさせた、そして食べ終えたのだった。三人で後片付けをしてそうして終えた。屏風はそのままでそこにいる妖怪も同じだったが最後まで何もなかった。
屏風のぞき 完
2022・1・29
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