第二章
[8]前話
「縁よ」
「神様が引き合わせてくれた」
「そうしたものよ、だからね」
「この子達はだね」
「皆家族にしましょう」
「それではね」
サーシラは妻の言葉に頷いた、そしてだった。
母猫はマーゴット、子猫は雄の三匹はジョナサン、エドワード、リチャードと名付け雌猫はマーベルと名付けた。
獣医に診せて食事も水も与えて育てた、すると。
子猫達は元気に育ち母猫はいつも子猫の面倒を見て仲良く暮らした、夫婦はそんな彼等を見ていつも笑顔になった。
サーシラは仕事でラスベガスに行く時があった、そこでだった。
撮影場所の近くの家の九十五歳の老婆ブランシュ=ジョーンズと知り合って彼女と話しているうちに自分の家の猫達の話をした、すると。
白髪の老婆がこう言った。
「実はうちにもなのよ」
「猫がいますか」
「ええ、こちらにね」
サーシラを自宅に招くとだった。
黒と灰色の縞模様の大きな猫とだった。
三匹の黒猫と一匹の茶色の小さな猫達がいた、サーシラは彼等を見てすぐに察した。
「こちらで、ですね」
「そうなの、裏庭でこの娘がいたの」
「ニャ〜〜〜」
「名前はアバディーンってしたわ」
「女の子だからですね」
「そうなの、その時は凄く痩せてボロボロでね」
そうした状態でというのだ。
「妊娠していて。私はそれを見て近所に娘と孫達がいるから」
「助けてもらってですか」
「病院に連れて行って産んでもらってね」
そうしてというのだ。
「それでなの」
「子猫達もですね」
「家族に迎えたのよ」
「ニャ〜〜オ」
「ウニャ〜〜」
「ミャ〜〜」
「ウニュ〜〜〜」
「黒猫は二匹が雄でタフィとラルフっていうの」
見れば首輪に名前があった。
「黒猫の残り一匹と茶色の子は雌でローズとアイリスっていうの」
「名前も付けてあげたんですね」
「そして一緒に暮らしているの、貴方と奥さんみたいにね」
「アメリカでもこうしたことがあるんですね」
「そうね、最初は驚いたことも同じね」
「そうですね」
「神様から授かったわね」
老婆は笑顔で話した。
「家族を」
「そうですね、私達はお互いに」
「私は皆大事にしていくわ」
猫達をこれ以上はないまでに優しい目で見つつ話した。
「何かあっても娘達がいてくれるから」
「育ててくれるんですね」
「ええ、では貴方も」
「そうしていきます」
これからもとだ、サーシラは老婆に答えた。そして仕事が終わるとすぐに家に帰って妻と猫達に只今の挨拶をした。自分を出迎えた猫達を抱き締めもした。
母猫が子供達を産んで 完
2022・1・28
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