第二章
[8]前話
「ですが」
「まだ帰って来られないですか」
「それで心配になって」
捜索を依頼したいというのだ。
「お願い出来ますか」
「わかりました、すぐにその山に行きます」
ストイコビッチは即答した、そしてイタリア人のスタッフ達と共にだった。
その男性三十三歳のマリオ=スコラの捜索に向かった、彼は茶色の髪と黒い目の背の高い男性だということも聞いた。
それで彼を捜索するとだった。
「クレバスの中にですか」
「いました」
ストイコビッチに同僚が答えた。
「そちらに」
「そうですか」
「幸い無事です、ですから」
「今からですね」
「救助しましょう」
「わかりました」
ストイコビッチも頷いてだった。
現場に向かった、するとそこにだった。
スコラがいた、彼は木の葉とアルミのシートで身体を覆って暖を取ってだった。
そうして茶色と黒の毛で耳が垂れマズルが長い中型犬がいた、その犬がずっと彼に寄り添っていた。ストイコビッチはそれを見てすぐにわかった。
「犬がですか」
「はい、アッシュといいまして」
スコラは救助される中でストイコビッチに話した。
「いつもハイキングに連れて行っていますが」
「今回もですね」
「一緒にクレバスに落ちたんですが」
「その間ずっとですね」
「そうです」
まさにというのだ。
「傍にいてくれました、私は怪我をしていてあまり動けなくて」
「そうして暖を取っておられましたね」
「近くに水があって飲めましたし」
「そこも助かりましたね」
「はい、そしてアッシュがいてくれて」
「そうですか、犬がいてくれたら」
それでとだ、ストイコビッチも言った。
「貴方は助かりましたね」
「本当にアッシュのお陰です」
「そうですね、実はです」
ここでストイコビッチは自分のことと祖国でのノースのことを話した、話を聞いたスコラは目を輝かせて応えた。
「そうですか、クロアチアでもですね」
「貴方の様に助かった人もいます」
「犬は素晴らしい生きものですね」
「家族であり命を助けてくれる」
「本当に素晴らしい生きものですね」
「全くです」
ストイコビッチに心から言った、そうしてだった。
彼はアッシュと共に救助されて愛犬と共に婚約者の元に戻った、ストイコビッチは幸せに抱き合う彼等を見て神に感謝してそして犬にも感謝したのだった。その暫く後で研修を終えてクロアチアに戻ってこの話も伝えた。
犬の温もりと優しさ 完
2022・1・28
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