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ウルフヒーリング
第一章

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                ウルフヒーリング
 ノルウェーのポーラ動物園で働いているアニタ=ソフェンセン真っ白の肌で薄い緑の目とやはり薄い茶色の長い髪の毛を持つ長身の彼女は今アメリカに来ていた。
 そのうえでウォリアーズ=アンド=ウルブズという施設に来ていたが。
「フェンリル元気みたいね」
「クゥ〜〜ン」
 黒い狼を抱き締めてから言った。
「よかったわ、アメリカに送ってどうなるかしらって思ったけれど」
「はい、こうしてです」
 施設の重役の一人マシュー=シモンズ黒髪で額の広いしっかりした体格の青い目の中年の男性が笑顔で答えた。
「この子は元気にです」
「暮らしていますね」
「この通り」
「それは何よりです、それでなんですが」
 フェンリルの頭を撫でつつだ、アニタはシモンズに尋ねた。
「この施設は」
「狼や狼犬を集めています」
「その中には辛い過去を持った子も多いですね」
「その子は違いますが」
「そうですね」
「親を失ったり飼い主に捨てられた子を保護して」
 そうしてというのだ。
「育てています、そして」
「ここは軍人の人達が来ますね」
「我が国の軍隊は世界中に行っていますね」
「戦場で戦っていますね」
「そうしてです」
 シモンズはさらに話した。
「戦場でトラウマを持ってしまった人も多いです」
「そうですね」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「彼等の治療も必要で」
「カウンセリングやミーティングもしていますね」
「様々な手段で、です」
 シモンズはさらに話した。
「退役してここに来てくれた人達をです」
「治療されていますか」
「そしてその中で」
 治療の中の一環でというのだ。
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