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自分そっくりなので
第二章
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「ふわり、ちょっと来い」
「ワン?」
「面白いものがあるぞ」
「ワン」
 ふわりは彼に顔を向けてからその声に頷いてだった。
 実際に彼のところに行った、すると。
 座っている彼の前にあったぬいぐるみを見て驚いて思わず跳び上がった。
「ワン!?」
「ははは、お前そっくりだろ」
「ワンワン」
 跳び上がってからその通りという感じで何度も頷いた、そのうえでぬいぐるみに近寄ってまじまじと見た。
「ワンワン」
「ぬいぐるみだから動かないぞ」
「ワン」
 洋介にぬいぐるみの周りを歩いて細かいところまで見ながら鳴いて応えた、ここで洋介はぬいぐるみの背中のボタンを押した、すると今度は声が出た。
「私ふわり宜しくね」
「パパ、ママ、お兄ちゃん大好きだよ」
「これからも仲良くしてね」
「パパ、お散歩行こうね」
「ママ、ご飯頂戴」
「お兄ちゃん一緒に遊ぼう」
「ワンワン!」
 ふわりはその声にまた驚いてだった。
 跳び上がった、そして今度は嬉しそうに尻尾を振った。両親はそんな彼女を見て微笑んで二人で話した。
「気に入ってもらったみたいだな」
「そうね、じゃあ時々ふわりに見せてあげましょう」
「ケージの中に入れてもいいな」
「そうよね」
「どっちにしろこのぬいぐるみはふわりにやるか」
「そうしましょう」
 こう二人で話した。
「気に入ったみたいだしね」
「そうするか」
「ふわり、このぬいぐるみは貴女にあげるわ」
 こう笑顔で話した。
「そうするからね」
「ワンワン!」
 母に言われてだだった。
 ふわりはまた嬉しそうに尻尾を振って声をあげた、そしてだった。
 ふわりはぬいぐるみで遊びはじめた、洋介はその彼女を見て両親に話した。
「じゃあこれからはな」
「このぬいぐるみはふわりのものでな」
「一緒にいてもらいましょう」
「ふわりも随分気に入ったし」
「それじゃあな」
「あの夫婦に報いを与えてふわりを喜ばせてるんだ」
 それでと言うのだった。
「だったらいいよな」
「ふわりにあげるか」
「そうするぞ」
「それじゃあな」
 洋介は父の言葉に頷いた、それは母も同じで。
 それでだ、三人でだった。
 ぬいぐるみをふわりのケージの中に入れた、洋介はふわりにケージに戻る様に言うと彼女は大喜びで戻り。
 ぬいぐるみの横で目をきらきらさせて舌を出して跳び回りながら尻尾をぴこぴこと動かしていた。その彼女を見てだった。
 洋介は両親に笑顔で話した。
「あの二人を報い与えてふわり自身をこんなに喜ばせてな」
「いいぬいぐるみだな」
「そうよね」
「ああ、これからはふわりのものだよ」
 こう言ってケージの中のふわりを見た、ふわりは今も喜んでいた。


自分そっくりなので   完


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