暁 〜小説投稿サイト〜
冥王来訪
第二部 1978年
ミンスクへ
我が妹よ その3
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、良くある話だ
餌付けする人間の方を好きになるなんて話も、良く聞く」
餌付けする人間……、恐らくKGBか、GRUであろう
彼等のスパイ工作網は、優秀
大戦前から秘密裏に米国内にスパイ網を構築
原子爆弾のノウハウを我が物にした事実は、今でも語り草だ
「なあ、俺の事は構わないが、隊内の小僧共がなあ……」
彼が言った小僧達とは、ベルンハルト達のグループ、《戦術機マフィア》の面々であった
党内はおろか、軍内部にも、彼等を目の敵にする人物は多い
「今しがた、アベールにその事を話したんだが、奴は首を振らなかった。
見上げた忠誠心だが、(いささ)か脇が甘い。
そうでなくても、目立つ存在だから、俺自身も困っているのだよ。
まあ、目を付けている連中の事は、十分把握しているのだがな」
男は、彼にそう(うそぶ)

「話は変わるが、お前さん達が、西側部隊との通信連携の話を持ち込んだ件。
あれが、国防評議会(東独の軍事方針を決める党傘下の会議)で揉めた。
《おやじ》からダメ出しを喰らって、廃案になりかけたが、検討課題で残した。
俺が、代行をやってるうちに通してやるよ」
彼は、背広の胸ポケットから新しいタバコの包み紙を取り出す
封を切ると、シュトラハヴィッツに差し出し、好きなだけ取らせた
彼の手に包み紙を戻すと、数本抜き出し、机の上に並べる
新たに火を起こして、タバコを吸い始めた
「いずれにせよ、東西(ドイツ)の再統合は避けて通れぬ問題だ。
米ソも、やがては折れる。
工業力に欠け、冶金技術(やきんぎじゅつ)もチェコやハンガリーよりはマシだが、自動車と小銃ぐらいしか作れぬ。
おまけに、ポーランドの連中も信用できん。
そうすると、同胞に頼るほかあるまい。
米国の圧力で、戦術機の工場を移転させたが、俺はあんな玩具(おもちゃ)を信用しては居ない。
どうせ、この戦争が終われば役立たずになるのが、目に見えている。
多少は安く、中近東やアフリカにでも売れるだろうが、其れとて米ソや販路を持つ英仏には負ける。
いっそ、ドイツ一国で作るの(あきら)めて、欧州の航空機産業でも集めて作った方が楽かもしれん。
支那辺りでは、細々に分解し、研究しているそうだが、時間も金も掛かり過ぎる」
タバコを深く吸うと、天を仰ぎ、紫煙を吐き出す
「だから、俺は、お前らの計画に乗ることにした。
これを足掛かりにして、西側との連携を進めたい。
《おやじ》も様々な方法で駄々を捏ねて、西側から金を《せびった》。
門前の小僧ではないが、俺も備にその様を見て知っている。
俺が立ち会ってやるから、上手くやって呉れ」
少将は、腕を組みながら冷笑した
灰皿に載せられた吸いかけのタバコは(くすぶ)り、部屋中に煙が舞う
「随分勝手な話だな。
今更認めるなん
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