第一章
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校則違反ではないが
八条学園高等部の校則は寛容なことで知られている、世界各国から生徒や教師、職員が集まるのでもう髪の毛の色がどうとか髪型がどうとか服装がどうとか言える状況ではないこともあるが元々のおおらかな校風も背景にある。
だが生徒指導担当の教師の一人である野村賢二柔道七段で柔道部の顧問の一人でもあり一六五位の背の小太りな外見で角刈りの髪の毛に丸い顔に小さな目と分厚い唇がある彼は校門で怒っていた、それでその生徒に告げていた。
「お前今日授業終わったら床屋に行け」
「えっ、駄目ですか?」
フランスから来た留学生アントワーヌ=クロキエールは驚きの声で応えた、丈の長いドレスの様な赤いスカートと濃い赤のブレザーと黄色のフリルが多く付いたブラウスにスカーレッドの大きなリボンという制服だ。金髪碧眼でお姫様の様な顔立ちで背は一六三程だ。その彼女が野村の言葉に驚いていた。
「私のヘアスタイルの何処が」
「何だその髪の毛は」
見れば長い金髪を上に伸ばしその頂上に模型の庭がある、池まである。全長一メートル程のものである。
「うちはおおらかだがそんな髪型は論外だ」
「これは貴族の女性の髪形で」
「そんなものがあったのか」
「はい、ルイ十六世の頃に」
「マリー=アントワネットか」
「あの人の頃で」
実際にというのだ。
「その頃の髪型にしてみました」
「幾ら何でも常識外れ過ぎる」
それでというのだ。
「駄目だ、今日は仕方ないが授業が終わったらだ」
「切ることですか」
「そうしろ」
「仕方ないですね、今日は演劇部の舞台でその時の髪型だったのですが」
「部活でも駄目だ、普通の貴族の髪型にしろ」
「わかりました」
アントワーヌも渋々頷いた、そうしてだった。
授業が終わると学園の中にある美容院に行った、そして野村に言われた通りに髪の毛を切って髪型を変えたが。
今度は縦ロールだった、野村はその髪型を校門で見て今度はこう言った。
「校則違反でないからいい、しかしだ」
「今度は何でしょうか」
「昨日よりましたがまた派手な髪型だな」
「私は派手なものが好きなので」
アントワーヌは自分の趣味から話した。
「お慕いしているユゴーさんもそうですし」
「三年の男子生徒だったな」
「あの方は貴族の家の方で」
それでというのだ。
「その文化の素晴らしさを常々お聞きしていまして」
「制服もドレスをイメージしてか」
「はい、髪型もです」
こちらもというのだ。
「この様にです」
「貴族的にしているか」
「私の家は普通の銀行員ですが」
その家の娘だというのだ。
「フランスと言えばお洒落なので」
「それでか」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「こうしたフ
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