第二章
[8]前話
「子供の頃から」
「そうなの。じゃあ作ってあげるわ」
「本当ですか?」
「パンは沢山あるから。それでね」
由香は食べながら話す佳正にさらに話した。
「またこうした時があったらね」
「残業になったらですか」
「ご飯作るから食べてね」
「そうしていいですか」
「実は一人だと量に困るから」
それでというのだ。
「作り置きしても残さない様にって何日もで」
「それで、ですか」
「だからね、よかったら食べてね」
「悪いですね」
「悪くないわよ、じゃあ今日はね」
「スパゲティ食べてですね」
「お家に帰ってね」
佳正ににこりと笑って話した、佳正はその顔にまたどきりとなった、次の日彼は涼香からサンドイッチを貰ってお昼にした。
そしてだ、それからもだった。
佳正は残業になった時は涼香が作り過ぎた時は彼女の家でご馳走になったりお弁当を貰った、そうこうしているうちに。
涼香の厳しい中にも見せるあどけなかったり子供っぽかったりする表情を見ているうちに佳正は彼女に好意を持つ様になった、そしてまた残業になって涼香にこの日は作り置きだったハヤシライスを一緒に食べて二人で食器を洗い終えた時に。
ラフな部屋着、この日はブラウスとひらひらしたミニスカート姿の彼女に思わず抱き着こうとした、だが。
その直前にだ、涼香は彼に言った。
「いいよ、ただ続きはベッドでね」
「えっ、主任」
「わかってたから」
顔を真っ赤にしての返事だった、そうして。
佳正はこの日は彼女の家に泊まった、それからだった。
二人は交際をはじめた、仕事をしている時は上司と部下だったが。
プライベートでは恋人同士となった、それから結婚したがその時はだった。
佳正は主任になり涼香は別の部署に異動しそこでも主任だった、子供も出来てその間に佳正は課長になり。
「私は奥さんでお母さんで先輩で部下になったわね」
「それ言う?」
「言うわよ、面白い関係だからね」
二人の間に生まれた息子を抱きながら彼に言った、その顔は童顔のままだったが妻であり母のものになっていた。その顔で彼に言うのだった。
佳正はその彼女の顔を見てまたどきりとした、そうして彼女に返した。
「晩ご飯食べて夜は」
「一緒によね」
「ベッドに入ろう」
「わかったわ」
涼香も笑顔で応えた、佳正はその時の彼女の顔にも心が動いた。何時までもその顔にそうなると思いながら。
怖い上司の意外な顔 完
2022・1・24
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