第二章
[8]前話
「ゴキブリとかムカデとか蜘蛛とかゲジゲジとかな」
「虫だったのか」
「ああ、幸い俺掃除はいつもしてるからな」
「奇麗好きだからな、お前」
「部屋には出てなかったけれどな」
それでもというのだ。
「俺の部屋アパートの一階の端にあるだろ」
「そういえばそうだな」
「あそこアパート建てる前は沼地でな」
「じめじめしていてか」
「俺の部屋の場所は特に水はけが悪かったらしくてな」
それでというのだ。
「気温が高めで湿気もあってな」
「虫が多いんだな」
「そうなんだよ、実は外も蚊とか多くてさ」
「そうなんだな」
「昔から住んでる人から聞いたよ、結構虫の多いアパートで」
足立は蕎麦を食べながら話した、結構コシがあり風味もつゆもいい味だ。
「特に俺の部屋はだよ」
「そうした場所でか」
「天井裏とか下とか壁の中とかな。コンクリートじゃなくて中に隙間がある場所にな」
「虫が大勢いるんだな」
「巣を作ってな。動き回っていて」
そうしてというのだ。
「音がしていたんだよ」
「そういうことか」
「お坊さんが言ってくれたよ、霊とかじゃなくて」
「虫か」
「時々でもバルサン炊いて夏でも蚊除けした方がいいってな」
「そんな厄介な場所だから家賃も安かったんだな」
「そうだな、道理で事故物件でもないのに安い筈だよ」
中根に納得した顔で述べた。
「安いには理由があるな」
「アパートの部屋でもそうだな」
「ああ、けれど広くて設備よくて安いのは事実だしな」
「それじゃあこれからもか」
「時々バルサン炊いて奇麗にして念の為にホウ酸団子とか置いてな」
虫への対策を話していった。
「蚊への対策もな」
「していくか」
「蚊取り線香とペープマット買うな」
「そうしてか」
「夏は過ごすな、考えてみたら祟りよりも怖いしな」
「ムカデに?まれたり蚊に刺されるとな」
「蟻も出るしな、蟻に砂糖とか食われても嫌だしな」
このこともあってというのだ。
「気をつけていくな」
「そうか、じゃあそうしろよ」
「それで快適に暮らしていくな」
今いる部屋でとだ、こう言ってだった。
足立は今度は世間話をした、中根はその話に乗って食べながら話した。それから彼は結婚して二人の家に入るまでその部屋で暮らした。それからもその部屋のことは明るく話した。
アパートの物音 完
2022・1・24
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