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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
かくしてウィステリアは、デビューする
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ごいよへカーティア。チケットも即日完売しちゃったし、これもう用意した席に入り切らないよ!」
「ふふ。さすがはへカPってとこでしょ?地獄の女神にかかればこの程度の集客赤子の手をひねるよりも簡単なのよん。」

裏方から観客席を見渡し、2人はそう会話している。
そして…。

「あら、噂には聞いてたけど随分と地味なプロデューサーとコーチなのね。そのTシャツのセンスだけは褒めてあげるケド。」
「…!」

やってきたのは勿論、あのエリザベートとそのマスター、大久保 麻美。
そしてあたしを見るなり、彼女は勝利を確信しにんまりと笑う。

「へぇ。よくもまぁ平然と来れたわねまな板。逃げなかっただけマシと言うべきかしら?」
「そうやって言ってられんのも今のうちだ。今度その胸で洗濯してやるよ。」
「な、なんですってぇえ!?」

バサッと背中から竜の翼が現れる。
それを見ると麻美は慌てて後ろから羽交い締めにして抑え込んだ。

「やめなよエリザ!!ここで暴れたら台無しだよ!!」
「あのまな板に分からせてやるのよ!!どっちの胸が洗濯板なのかってことをね!!!!」

言ってやった。
出会って早々まな板呼ばわりしたんだ。このくらい言っても別に罰は当たらないだろう。

「まぁあたしはオトナだからさ。まな板だなんだって言われてもそこまで怒らなかったけど。」
「何よそれ!?まるでこのアタシが子供みたいな言い方じゃない!!」
「そうじゃないの?ん?」
「葵様も煽らないでください!!」

香子に止められ、渋々やめることにする。
しかしスッキリした。言いたいことを言ってやったんだから。

「落ち着こうエリザ。アイドルならそんな事じゃ怒らないでしょ?ね?」
「ふーっ、ふーっ…そ、そうだったわね。今のは少しアイドルとして浅はかだったわ。」

興奮状態だったがなんとか落ち着かせた様子。
深呼吸をし、彼女はそれからあたしを睨みつけると自分のマスターに話を振った。

「ところでマスター、昨晩のディナーは何だったかしら?」
「え?ミートパイとかレモンパイとか…ともかく今日はパイ尽くしだったね!」

そうそう、そうだったわねと頷くエリザベート。
一体この洗濯板娘は何が言いたいのか、そう思った時、彼女はにやけヅラをこちらに向けて尋ねてきた。

「ねぇまな板。アタシはこうしていろんなパイを食べてきたけど、一つだけ分からないパイがあるのぉ。」
「…何?」
「ペチャパイって、なんだと思う?」

…。
カチンときた。

「アップルパイにはリンゴ。そしてカスタードパイにはカスタードクリーム。じゃあペチャパイには何が入っているのかしらねぇえ??????」
「何 に も 入 っ て な い ん だ よ ォ !!!! 」


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