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ドリトル先生とめでたい幽霊
第二幕その六

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「ここで話すよりも」
「それよりもだね」
「本は読むことだからね」
「その通りだよ」
「そうだね、読むよ」
 織田作之助の作品もというのです。
「僕もね」
「そうしてね、ちなみにね」
 先生はさらにお話しました。
「夫婦善哉の主人公のモデルは作者のお姉さんらしいよ」
「織田作之助の?」
「うん、随分しっかりとして織田作之助を可愛がっていたらしくて」
「それでなんだ」
「作品の主人公のモデルにもね」
 そちらにもというのです。
「したらしいよ」
「そうなんだ」
「大阪の女の人だけれど」
 夫婦善哉の主人公はというのです。
「まさにその人がね」
「作者のお姉さんなんだ」
「実際はこの人はしっかりとした家庭を持って」
 不倫はしないでというのです。
「ご主人としっかりお店を切り盛りしていたらしいけれど」
「作品ではなんだ」
「不倫をしてね」
「それで頼りない人と一緒になって」
「その人を助けたり怒ったりしながらね」
 そうしつつというのです。
「大阪の街を彷徨いつつもね」
「しっかり生きていくんだ」
「そうした人なんだ」
「成程ね」
「ちなみに旦那さんの実家のお店の入り婿でお店を継いだ人は」  
 この登場人物はといいますと。
「お姉さんのご主人みたいだね」
「その人はなんだ」
「うん、生真面目で融通が利かなくて主人公達に冷たいけれど」
「お姉さんのご主人とは折り合い悪かったのかな」
「そうみたいだね」
 どうもと答える先生でした。
「織田作之助は」
「成程ね」
「ちなみに織田作之助自身も彷徨っていたよ」
 作者であるこの人自身もというのです。
「大阪の中学を出て京都の三高今の京都大学に進学したけれど」
「当時だと凄いよね」
「もう将来を約束された位にね」
「そうだよね」
「けれここで結核になって」 
 それでというのです。
「身体が悪くなって勉強する気も失って学校にも行かなくなってね」
「彷徨いだしたんだ」
「うん、そこで奥さんになる人とも会って」
 そしてというのです。
「その人が危ない人と付き合っていたり」
「そんなこともあったんだ」
「別れさせる為に動いたり東京で就職したりね」
「東京にいたこともあるんだ」
「そうなんだ、けれどね」
 それでもというのです。
「やっぱり生粋の大阪人でね」
「だからだね」
「大阪に戻ってね」
「それからはだね」
「大阪に住んで」
 そしてというのです。
「大阪で暮らしてね」
「お仕事もだね」
「こちらの新聞社に就職したりしていたんだ」
「そうしていたんだ」
「それで暮らしていて」
 それでというのです。
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